「気温」「湿度」は高すぎても低すぎても私たちに不快感を与え、健康にも悪影響を及ぼします。私たちの体内の温度は通年ほぼ37度で一定に保たれ、皮膚の表面温度は33〜34度程度がもっとも快適に感じる(暑くもなく寒くもない)のだそう。つまり、このくらいの体感になることを目して、季節ごと暑さ寒さにさらされる住まい環境の「空気を調える」ことになります。そのための家電がエアコン(空調機)です。
近年、年ごとに変動はあるにせよ、夏に近づくに従って容赦なく上昇していく「気温」「湿度」。熱中症など命に関わることもあり、ハイシーズンにはエアコンを24時間運転させっぱなしになることも珍しくなくなりました。しかしそうなればなかなか掃除のタイミングがはかれなくなります。本格稼働のその「前」に。着手しておきたいエアコンの掃除法を今回はご説明します。
まず家庭用エアコンの掃除として、私たちが行えるのは「吸気フィルター」部分、壁付けエアコンの「外周」部分(吹き出し口、ルーバーまでは含む)、そして「リモコン」本体部分までだということを押さえておきましょう。ご説明するのもこの範囲になります。
いわゆる内部の「熱交換器」や「送風ファン」部分については、自分では執り行わず必ず専門業者に依頼してください。
そもそもエアコンが冷房・暖房運転をするときというのは、どのような仕組みで部屋の温度を下げたり上げたりしているのかというと、暑い部屋の空気を吸い上げ、熱交換器でそこに含まれる「熱」を奪ってから外気に吐き出すのが「冷房」。冷たい部屋の空気に外気から奪った「熱」を与えて吹き出すのが「暖房」です。家の中と外でやりとりしているのは「熱」だけであり、エアコンを稼働させているからといって外気と入れ替わったりはしていません。
つまりエアコン室内機が吸気したり吐き出したりしているのは締め切られたその部屋の空気だけということになります。そしてエアコンのフィルターなり、熱交換器なりファンなりを汚す主原因は部屋の空気そのものだというわけです。
エアコンの吸気フィルターに限りませんが、空気清浄機なり除湿機や加湿器なり、なにかしら部屋の空気を吸い上げる機器を使っている場合そのフィルターで目にすることになります。そこでわかるのは、私たちが過ごす部屋の空気には少なからぬ「繊維クズ」が多く含まれているということです。それは私たちの身につけている衣類や、寝具などから知らず知らずこぼれ落ちている繊維で、洗濯物の部屋干しなどしている部屋では特に顕著に見られます。
加えて、調理の際に出る油煙、タバコのヤニ、屋外から入り込んだ煤煙(排気ガス)、カビ(の胞子)、花粉、その他微粒子などなどが吸気フィルターに付着し、さらにフィルターを通り越した微細なものはエアコン内部機構に運ばれてしまいます。エアコンの汚れ具合というのは部屋ごと、家庭ごとで差異がありますがその度合いには普段からの掃除の頻度や換気の有無等が大きく関わってきます。
壁付けエアコンの場合、正面のほぼすべてと言える広い面を吸気フィルターが占めています。近年この部分の自動清掃機能が謳われている商品が増えてはいますが、自動清掃というのは永久清掃不要という意味ではないので、自動という文言に感けて一度もこの部分を確認したことがないという方は是非、取扱説明書を持って前面パネルを開け、吸気フィルターを確認してみてください。
フィルター本体が見えないくらいホコリがひっついてしまっている場合は、できるだけマスク、メガネを装着しフィルターを取り外します(ホコリを吸うと体に良くありませんので注意)。乾いた大きなホコリの塊は掃除機で吸い取り、べたついた油煙やヤニは浴室などで中性洗剤とブラシを用いて洗い、よく濯いで日陰で干しておきましょう。
数年溜めたホコリなどでエアコン本体の色がわからなくなってしまっているケースもまま見られます。ホコリに油煙やヤニのベタつきが含まれる場合は住居用中性洗剤を含ませたボロ布などで外周の汚れを拭い、コンセント部分のホコリもしっかり取り除いておきましょう(火災予防)。
吹き出し口、ルーバー部分に黒い汚れが付着している場合これはほぼカビなので、ただの水拭きなどではなく殺カビ効果のある洗剤や消毒用エタノールと使い捨てペーパーなどで拭き取るようにしましょう。
ホコリや手垢で汚れやすいエアコンのリモコンは、ティッシュなどに少量の消毒用エタノールを含ませたものでしっかり拭き、ついでに必ず電池を交換しておきましょう。またリモコンを紛失すると死活問題になるので定位置を定めておきましょう。
ところで窓用エアコンと呼ばれる特殊なタイプ以外の、基本的なエアコンは「室内機」「室外機」の2台揃って1基と数えます。部屋の中から見える、壁などに取り付けてあるほうが「室内機」、そこからパイプでつながった「室外機」は、よくベランダや窓下などに据え置かれている機械で、エアコンで冷房運転している外では、熱い空気が大きなファンからボーボー吹き出しているのがわかります。
この「室外機」の汚れも溜まるとエアコンの稼働に影響を及ぼします。優先順位的には室内機の掃除が済んだあとで構いませんが、ベランダなどに置かれた室外機と壁などの間に挟まっている落ち葉や蜘蛛の巣などのゴミはしっかり払い落とし、ホコリや煤煙で汚れた外周は濡らしたボロ布などで拭き取っておきましょう。また室外機の周囲に鉢植えなどの物を置くのは排熱を妨げやすいのでやめましょう。
特に夏場は排水用のドレンホースにヌルヌルした細菌の塊が生じやすく、ホコリや泥砂、ゴキブリなどが入り込む可能性があります。ドレンホースが詰まると異音や故障の原因になります。ゴキブリ除けのためにも室外機周辺はできるだけスッキリさせておいてください。
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