光Ethernetとは直接無関係ではあるが、8月のミーティングでは銅配線に関しても2つほどプレゼンテーションがあったので、まとめて説明しておきたい。
まず1つは、AmphenolのSam Kocsis氏による"Consensus Support for 800GbE over 8-Lanes based on 100GEL"。見て分かる通り、銅配線を利用した8レーンで800Gの規格だ。
まず、レーンあたり100Gの銅配線規格では、「IEEE P802.3ck Task Force」で現在作業中(現状はDraft 2.2の段階。予定では2022年7月に標準化完了)である「100GBASE-KR1/CR1」と、これを束ねた「200GBASE-KR2/CR2」、「400GBASE-KR4/CR4」が標準化に向けて進んでいるとする。
KR1/2/4はバックプレーン向けにPCB上の銅配線を、CR1/2/4はDirect Attach向けで1対の同軸ケーブルを、それぞれ1レーンとして利用する方式である100Gの100GBASE-KR1/CR1が技術的なベースであり、これを2対にすると200G、4対で400Gとなるわけだが、QSFP+などでは8レーンの信号は通せないということから「IEEE P802.3ck」は400G止まりであり、それ以上の審議はなされていない。
OSFPはともかくQSFP-DD800は、2019年9月にMSAが立ち上がっているので、IEEE P802.3ck Task Forceの審議にぎりぎり間に合っていた気もするのだが、8レーン構成は審議対象外にただ、実際にはOSFPやQSFP-DD800を利用すれば8レーンの信号を扱うことは可能だし、業界では「400GBASE-CR8/KR8」が広く普及していることも考えれば、8レーンの標準規格には意味がある、としている。
1.6Tb/sはレーンあたり200Gまで引き上げられれば、という前提なのだが、これが可能か? の議論がまず先な気もする。実際、例えばArista Networkの"Transceivers & Cables"を見てみると、下の方に「400G Copper OSFP」という製品があることが分かる。
400G to 400G以外に400G to 2×200G/4×100G/8×50Gが並んでいるあたり、最大で3mなのでラック内接続用ではあるが、ニーズをきちんとカバーしているというべきか。それはそれとして「400GBASE-CR8」を名乗っていいのだろうか? 出典はArista Networksの製品ページこうした動向を踏まえると、既に8レーンのモジュールは市場で受け入れ可能という判断だろう。
しかも互換性に関しては、既に400GまではIEEE P802.3ckで標準化予定になっている。これを2本束ねれば、800Gとしても2×400Gとしても利用できる、とする。
逆に言えば、800Gも400Gと互換性を保てるように構成するのは難しくない、と判断しているようだ以上を前提に、Study GroupにおいてはObjectiveに800GのCR/KRを定義すべきだ、というのが、このプレゼンテーションにおける提案となる。
最低2mの到達距離は「400GBASE-CR4」の、26.56GHzで挿入損失28dB以下は、「400GBASE-KR4」の要求であり、これをそのまま持ってきた格好だということで、この提案はStudy GroupのObjectiveへ入れられることが決まった。