これに関して、実際のシリコンでの結果は? というのがOFC 2021で発表された論文"Silicon Photonics Applications for 5G and Data Centers"のデータとなる以下の図。
その内容はタイトルにもあるように、400GのトランシーバーをSilicon Photonicsを利用して製造し、その特性を調べてみたというものだ。
この論文の筆頭筆者は、プレゼンテーション発表者であるSiFotonicsのRang Chen Yu氏比較の条件は、片方(Sample #1)がSilicon Photonicsを利用したMZM方式の100G ER1のトランシーバー、比較対象用のSample #2が100G Lambda MSAで規定された「100G ER1-40」のスペックに準拠した従来型トランシーバーである。
グラフ中にあるEYE Patternは、そのSilicon Opticsを使って「400G-DR4」を実装し、PAM4変調を行った後の波形を示したものであり、きちんとEye Heightが取れていることがアピールされている。
論文中には細かな記載がないが、上のグラフの説明には"We have also tested transmission dispersion tolerance with our internal developed silicon photonics MZ modulators PIC, as shown in Fig. 2, which show good margin vs. 100G ER1-40 specification by 100G Lambda MSA."とあり、100G Lambda MSAの100G ER1-40と比較しても、MZMを利用した場合にはマージンが多い(分散ペナルティが低い)とされ、MZMを使う限りにおいては40kmの伝達距離も十分にカバーできる、というのがグラフで意図したところだろう。
ただ、先ほども出てきたように、ITUで定められた色分散の計算式を利用した場合、-60~-37ps/nmというと、実際には1308~1310nmということになり、ここに8波長を通すとなるとおよそ0.29nmおきとなる。
この-60~-37ps/nmという数字は、1つ上の図のグラフに出てきたものだこれは、DWDMの0.8nmおきを超える波長密度であり、さすがに実現可能性が低すぎる。そこでもう少し色分散のリミットを広げ、1302~1310nmの間に8波長というかたちとすることで、現実的な実装ができるとしている。
この場合、色分散は-85~37ps/nmとなり、トータル122ps/nmほどになるので、これをカバーするためにDSP側で頑張る必要性はありそうだ