「PS5はまだいいかな」
入手難なのもあって少し前までそう思ってたんですが…どうしてもやりたいタイトルが発表されてしまいました。PS4版も出る…でも4K解像度に対応したPS5でこのダークな世界観を楽しむべきだと本能がうるさい。今使っているテレビは10年選手、4K 120Hzに対応していません。PS5が真価を発揮するには、HDMI 2.1で接続でき4K 120Hzに対応したテレビが必要になるのです。
この条件を満たすテレビが本格的に出回り始めたのは2021年のこと。つまり、本当に遊びたいタイトルがPS5にきて「最高の環境で遊びたい」と思ってしまったら、古いテレビから買い替えなければいけないということになります。
しかし、巷にはたくさんのテレビが。自分が今使ってるのは27型なのに、メジャーブランドは最小が40型とかになってます…。有機ELと液晶ってPS5前提だとどっちがいいんだろう? そもそも4Kって要る? コンシューマゲーム機の120FPSには意味あるの? 疑問を抱えながら家電量販店で眺めているとソニーのブラビアが欲しくなってきました。浦島太郎にもブラビアが綺麗なのはわかるのです。
そこで今回、ソニーさんに相談して3台の最新ブラビア(ソニーの4Kテレビシリーズ。2021年モデルにはHDMI 2.1に対応したものがあり、PS5の性能をフルに引き出せる)をご用意いただき、それぞれでPS5で遊んでみました。
結論から言うと、ゲーム体験重視派は4K 120Hz(HDMI 2.1)に対応した2021年以降の4Kテレビを買っておくべき。PS4時代とは何もかもちがいました。
自分が気になっていたのは主に以下の3つです。
・画面サイズの差はゲーム体験に影響があるのか?(どのサイズがいいのか)
・液晶/有機ELの差はどう影響するのか?
・4K 120Hz(HDMI 2.1対応)に意味はあるのか?
一度に試せるのは3モデルということで、以下のモデルを選定しました。
・X85Jシリーズ43V型(液晶、以下43型)
・A80Jシリーズ65V型(有機EL、以下65型)
・A90Jシリーズ83V型(有機EL、以下83型)
55型を入れるか相当悩んだのですが、43型と65型を試せば想像がつきそう&ここまでの超大型テレビのメリットってよくわからないということで、83型を入れてみました。
遊んでみたタイトルは『バイオハザード ヴィレッジ』『コール オブ デューティ ブラックオプス コールドウォー』『GUILTY GEAR -STRIVE-』の3本(以下それぞれ『バイオ』『CoD』『ギルティ』)。
ゲーム性・絵作りがある程度ばらけるように選びました。いずれもゲーム画面は美しく、4Kでプレイする意味がありそうです。『CoD』のみが高FPS(120FPS)に対応し、『バイオ』と『ギルティ』は60FPSです。
セカンドオピニオンが欲しかったので、編集部のブラビアユーザーにも同行してもらっています。
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https://www.gizmodo.jp/2021/06/primeday21_tv_buying-guide.html
トータルで見ると、43型は4Kの精細感をテレビとしてはコンパクトなサイズで楽しめるのが魅力、という感じでした。映像が非常に美しく、場の空気感みたいなものもビシビシ感じられました。「色の再現性は映画館並」という感想まで出たほどで、古いテレビを使ってる自分はだいぶ驚きました。描写力はんぱない。
自分はまだPS4を解像度1366×768のテレビで遊んでいるんですが、4Kで遊んでみて「今見てるテレビって見にくかったんだ」と。文字も細かいディティールもにじみなく見え、すっきりしています。ふだん使っているノートPCの画面と比べても高解像度で、綺麗です。ブラウン管テレビから液晶テレビに切り替えたときも似たようなこと思った記憶が蘇りました。
遊んでみた中では『ギルティ』が液晶の本モデルと噛み合っていると思いました。『ギルティ』は画面に暗い部分が少なく、全体的にカラフル。格闘ゲームなため、画面上部にはタイムやライフゲージが、下部には必殺技ゲージなどがあり、それらも見なければなりません。色彩がフラットに、画面全体がバランスよく見える液晶がハマっているように感じました(有機ELの黒が締まって見える、という特徴があまり生きない画面構成、とも言えます)。
また、有機ELに比べると液晶のほうが疲れにくいです。
液晶と有機ELを比べると有機ELのほうが高価ですが、それは「有機ELを買っておけばOK」を意味しないのだなと。今回試して実感としてわかりましたが、どちらを選ぶかは「自分がどういう映像を好むか」がポイントになります。『ギルティ』のように明るくカラフルなゲームが好きなら液晶がよく、『バイオ』のように全体的に薄暗いゲームをよく遊ぶなら有機ELがいいでしょう。
また、120FPSのゲームは明確に遊びやすいです。今回は、初見の『CoD』で「見える!」とか言いながらCPUを一方的に撃ってました。シンプルに快適だし、それまでとっつきにくいと思っていたジャンル(FPS)が楽しめたので、HDMI 2.1対応テレビを採用する意味はちゃんとあるなと。競技性の高いゲームのガチ勢だとPC版をゲーミングディスプレイでプレイするのが最適解というのは変わらないでしょうが、カジュアルにいろんなゲームを遊び歩いていて特にFPSやTPSを嗜む/これからデビューする人にはむしろちょうどいいでしょう。
あと、「床に座って遊ぶ」なら43型がちょうど良かったです(ほか2つはソファーに座って遊ぶのが自然)。
ふたりいてふたりとも同じ感想だったのですが、テレビというよりも大きいモニターって感じが近かったです。43型はモニターとしてみると大型な部類になりますが、ゲームしかしないならHDMI 2.1対応のゲーミングモニターも候補になります。地上波なども観る・輝度やHDR対応にこだわるなら価格を踏まえても小型の4K 120Hzテレビが選択肢として有力になってくるみたいな感じになるでしょう。
次に述べますが、サイズが大きくなると体験も変わってきました。モニターとの差が決定的になるのは55型あたりからではないかと思います。
総合的に見るといちばんしっくりきたのがこの65型。映像体験に迫力がプラスされてくるのが43型とのちがいで、大画面で楽しみたいというニーズがあるなら検討するべきだと思います。自分もモニターとはまたちがった映像体験をテレビには求めたいので、このあたりが良さそうかなと。
65型は有機ELモデル、遊んだ中では『バイオ』の印象が強かったです。
『バイオ』は基本的にどのシーンも薄暗く、画面には黒い部分が多いです。写り込みが激しいので明かりを消して遊んでいたのですが、液晶の43型ではその部分が若干白っぽくなり、『バイオ』だとけっこう気になりました。が、有機ELだと暗い部分はちゃんと真っ暗。逆に明るい部分は目立ち、『バイオ』の場合は見やすかったです。
先ほども述べましたが、暗い絵と明るい絵のどちらが好みなのかは、有機EL/液晶のどちらを選ぶかを決定づけるポイントだと思います。自分の場合は、ダークファンタジーやSFが好きなので、有機ELが合ってそう。映画もよく観て、部屋の電気も必ず消してますしね。
画面が大きいので、離れてもちゃんと見えます(もちろん近くても)。それが意味するのは、コンテンツや気分に合わせて距離を調整する余地があるということ。たとえば、画面から距離をとってソファーなどに腰かけてリラックスして向き合ってもいいですし、少し近めに陣取って画面を細部まで楽しんでもOK。『CoD』は画面に細かく情報が表示されるので、若干近づいて遊んでいました。『バイオ』も少し近づいて遊ぶのがいいように思いました。敢えて近づくことでホラー作品の圧迫感が強調され、より怖い。
自分はまず置くスペースはあるか、で考えちゃってた(そして小さいほうに魅力を感じてた)んですが、いったんそこを離れてみると大きいからこそ視認性や没入感が高い、という面が浮き彫りに。自分がテレビを新調する理由は突き詰めれば最大限楽しむことなので、コンパクトさよりも大きさを重視したほうがいいのかなぁと考えを改めました。
また、65型は音が露骨に良いです。「テレビの音」という感じではない。画面の裏に振動板があって音が鳴るという仕組みが採用されていて、画面から音が向かってくるというのも独特で、驚かされました。
43型は映像美に目がいきましたが、65型は映像が美しいのは当然でしょって感じですね。付加価値的なところでも満足させてくれます。
83型は「テレビ」って感じではもはやなく、小さな映画館といったほうが近いです。
83型の寸法は、横185cm×縦106cm。視界が本当にぜんぶゲーム画面になり、横に何かあってもプレイにちょっとでも意識がいけば認識の外にいってしまいます。最適な距離で観ても迫ってくるような感覚がある感じ。部屋を暗くすれば、一瞬で没入できます。映画館のスクリーンによる体験とよく似ていて、65型と比べても一線を画します。ドットピッチが非常に大きく、近づいて見ると「4Kって粗いんだ」という異次元な感想が飛び出たりも。
有機ELなので相性のいいゲームはやっぱり『バイオ』でしたが、それよりもそのサイズがもたらす臨場感のほうが印象的でした。「自分はこっち側にいる」という感覚は失われないので、やっぱり映画館で観る感じが近い。
また、83型は音響が65型以上に強烈でした。立体的な音響システムを内蔵していて、天井に音を反射させて上から聴かせる、なんてことをやってのけます。『バイオ』をやってると変なところから音がして怖すぎ。
極めてリッチで新鮮な体験が得られる製品なのはまちがいありません。
でも「PS5のためにこれを買うの?」と聞かれると、予算を見ないことにしたとしても、迷いますね。
これは65型もそうだったんですが、没入感が上がるほど疲れます。自分は映画館でIMAX作品なんかを観たあとってほかには何もしたくなくなるんですが、83型で遊んだあとにはそれに近い感じがありました。自分はゲーム性のある作品をあくまでゲームとして、集中してプレイしたい(長時間プレイしたりもしたい)ので持てあましそうな気配が。
最新映像バリバリの作品を中心にプレイしている人だとアリでしょう。『バイオ』や最近のFFシリーズのような映画的なところがある作品が大好きなら、そういう疲労感も心地いいでしょう。描写力も当然すさまじいので、ゲームに限らず映像美を追求した作品を追求したいなら、超満足できるはず。
ちなみに、2021モデルのブラビアのハイエンドモデルでは「BRAVIA Core」という映画ストリーミングサービスが利用できます。これは候補に挙がっているソニー・ピクチャーズの映画作品から10本選んで無料で観られるというサービスで、その時点で映画が好きな人だと「おっ」ってなると思うのですが、ソニーすぎるのがビットレートの高さ。最大80Mbpsという高画質(4K UHDブルーレイと同程度)でストリーミングしてくれるPure Streamという技術が導入されているんですよね。超クオリティ重視の映像ストリーミングサービスなんです。
注視点をくっきりさせるXRプロセッサーなどもそうですが、2021年モデルのブラビアからは「とにかく綺麗な映像で観て欲しい」が溢れまくっています。83型はその究極形であり、専用の部屋やサウンドシステムも用意して、映画を中心に好きな映像作品を完璧な形で楽しむものな感が。そういうニーズがあったうえで、PS5も遊ぼうか、という感じで選ぶのが自然な気がしました。
自分はこれまで気になるタイトルの発売に合わせて次世代ゲーム機を買っていました。PS5も同じ感じでいこうと思ってたんですが、PS5の性能を発揮するにはテレビの買い替えも必要になってくるので、想像以上に慌てることに。
ただ、今回3台のブラビアであれこれ試させてもらったら、答えはけっこう簡単でした。PS5目線だとHDMI 2.1に対応した2021年モデルの4Kテレビを買っておけばまちがいないです。4K・120FPS、いずれも体感としてわかります。PS4とは桁違いに美しく、滑らかです。PS5に最適化された環境に移行することで、本当に遊びたいタイトルを最高に楽しめるはず。正直、ゲーム好きな人が移行したくなるのは時間の問題だと思いますが、選択肢はすでに提示されているのであとはタイミングをみて踏み切る、って状況になっていますね。
具体的にどの製品にするかは、好みをよく考えたうえで予算内&実際設置できるサイズ・パネルのものを、ということになるでしょう。大きいモデルは高価でスペース面が厳しくなりますが、体験を重視するなら十分に検討の余地があります。自分は実際に遊んでかなり感動しましたから。液晶/有機ELについては繰り返し述べてきましたが、最高に楽しみたいのであれば自分が遊ぶゲームや好んで観る映像作品の絵作りを踏まえて選択したほうがいいです。「どの程度映像にこだわるか」を意識すると、自然とどの価格帯の製品を選ぶかも決まってくるはずです。
自分は55型か65型の有機ELブラビアが合ってそうでした。良いお値段だけど映像は本当にシャープで綺麗だし、色の出方も好みです。今後10年使うと考えればアリ…と思いたい。
Photo: かみやまたくみ取材協力: ソニーSource: ソニー (1, 2, 3)