9月24日(金)に放送された「ガイアの夜明け」(毎週金曜夜10時)。今回は、日常に潜む"まだ気づいていないニーズ"を見つけ出し、かつてない商品を生み出す人々に密着。その最前線と奮闘をカメラが追った。
ヒットはあっても大ヒットが生まれない...カルビーが目をつけたのは人々の「赤裸々な本音」
スナック菓子の大手「カルビー」は、1964年発売の「かっぱえびせん」以来、「ポテトチップス」や「フルグラ」シリーズ、「じゃがりこ」など約10年ごとにヒット商品を生み出してきた。しかし最近、こうした大ヒット商品をなかなか生み出せずにいる。伊藤秀二社長は、「何がヒットして何が求められるか、かなり複雑になってきている」と話す。本社では、生活の中にある「食のシーン」を13に分類し、それぞれにどんなニーズがあるかを徹底分析。すると、あることが見えてきた。「カルビー」は、ジャガイモを使ったスナック菓子の売り上げが全体の約6割(国内)を占めていることもあり、多様化している今時のニーズに対応できていないことが浮き彫りになったのだ。男性社員は「カルビーの商品は一部でしか支持されていない。多様な食生活に対応していくには、ジャガイモだけだと無理がある」と話す。手付かずの領域にヒットの鉱脈は眠っているはず...。それを掘り起こそうと、カルビー創業の地・広島県広島市にある開発拠点「カルビーフューチャーラボ」では、新たな取り組みを始めていた。オシャレなキッチンや掘りごたつ風の座敷がある仕事場では、総勢7人のスタッフが意見を交わし、パソコンに向かうなどしながら業務に励む。メンバーのうち4人は、金属商社や広島県庁など、「カルビー」以外の出身。彼らは、新たなヒット商品を生み出すために集められた特別チームだ。ヒットを生み出すための切り札が、壁一面にびっしりと貼られた大量の付箋。その1枚1枚に「奥さんが寝てから1人で晩酌」「義母と顔を合わせたくないのでわざと遅く帰宅」「奥様がこわい! 外で飲んでも家メシ、ご機嫌取りの菓子パン」など、老若男女から集めた赤裸々な本音が記されている。食だけでなく、生活全般に関することを深堀りし、実際にここから生まれた商品もある。トースト専用のカレーとシチュー「のせるん♪」は、「娘が塾に行く前はお腹に溜まるものを食べさせてあげる」(50代女性会社員)という声がきっかけで誕生した。パンにのせてレンジで焼くだけなので子どもでも簡単にでき、12月から本格販売する予定だ。「野球観戦で食べられるものが欲しい」という声から生まれたのは、音をたてながら広島カープを応援できるスナック菓子「ふるシャカ!」(※現在は販売しておりません)。振ると味付けした粉が行き渡り、よりおいしくなる。しかし、この新たな拠点から、まだヒット商品と呼べるものは出ていない。かっぱえびせんの新味商品などに携わってきた開発担当の加藤克典さん(44)は、最近とても気になっている付箋がある。「においに敏感なので自分のにおいも気になる」など、においに悩む人たちの切実な声だ。議論を深めていくと、自分や部屋のにおいへの対策商品は数あれど、"公共の空間のにおいに自分で対処できる商品"は、未開拓であることがわかる。9月上旬、ある助っ人が「カルビーフューチャーラボ」を訪れた。においを研究するベンチャー企業「アロマビット」からやってきた専門家・寺田絵里加さん。寺田さんいわく、"履いた靴下"のにおいにバニラのにおいを加えると、なんとチョコレートのにおいになるという。ウソのような本当の話だが、寺田さんは、においの不思議な性質を使えば、嫌なにおいの空間でお菓子を食べることで、いいにおいに変換することができるのでないかと提案。嫌なにおいにあるにおいを加えることで別のにおいに変えてしまうお菓子...。商品開発の方向性が見えてきたが、果たして、加藤さんと寺田さんのタッグは、どんな新商品を生み出すのか?
ユニークな発想で急成長 コロナ禍の「おひとりさま」需要狙う
仰向けで寝ながらパソコンを操作できる「仰向けゴロ寝デスク2」(4,980円)や、断面が美しいコードレス電動包丁「エレクトリックナイフ Slim」(5,980円)、水道いらずの食洗機「ラクア」(29,800円)など、ユニークな家電で人気のメーカー「サンコー」。東京・秋葉原に本社を構え、大手が作らないニッチなニーズに応える製品を世に送り出してきた。2019年度は17億円だった売り上げが、2020年度は44億円と増加。コロナ禍の需要を捉え、急成長を遂げている。秋葉原の本社オフィスには、開発に勤しむ社員の姿があり、いたるところに試作段階の商品が並ぶ。個性派揃いの社員を束ねるのが、山光博康社長だ。ある日、社員を連れて向かったのは、本社の近くにある家電量販店「ビックカメラ AKIBA」。狙いは大手メーカーの新作をチェックし、それらがカバーしきれていない"すき間"を探すこと。山光社長は「"すき間"だから狭いということではなく、実際の"すき間"に入ってみたら、奥はもっと広まっていたり、もっと新しい世界があったりする。狭き門でもその先が広まるものを見定めていく」と話す。「サンコー」では、社員からアルバイトまで49人全員が、週に1度、新商品の種になりそうなものを書き込むのがルール。家族や来店客との会話などから見つけたヒントは社内のネット掲示板に上げられる。「花粉症の妻がいても窓を開けたい」「冷蔵庫に何があるのか一目でわかるもの」など、年間の書き込みは約2000。そのうち商品化に至るのは約10個だという。商品化し、一番ヒットしたのは、かけるだけで首筋を冷やすことができるネッククーラー。シリーズ累計79万台を超え、「サンコー」の直営店の前に大行列ができたほどだ。しかし、3年前の発売当初は、反応が鈍かったそう。そこで、まずは少ない数で売り出し、改良を重ねながら徐々に数を増やしていく戦略に。買った人からの要望をしっかり取り入れた結果、爆発的なヒットにつながったという。「サンコー」がいま注力しているのが、一人暮らし向けのニーズに応える商品開発。「おひとりさま用 超高速弁当箱炊飯器」(6,980円)は販売台数11万台。一人で焼き鳥が作れる「自家製焼き鳥メーカー2」(6,280円)は、コロナでの巣ごもり需要を捉え、人気に火がついた。好調の「おひとりさま家電」でさらなるヒットを狙うため、新プロジェクトに抜てきされたのが、商品企画部の向後栄さん(28)。入社1年の新人だが、今回初めて、ゼロからの開発を任された。向後さんは中途入社で、以前は「サンコー」直営店のすぐ横にあるゲームショップで働いていた。ある日、ネッククーラーを求める行列を見て、「どんな人が開発したのだろう」と興味を持ち、転職したという。向後さんが挑む「おひとりさま家電」は、電気の熱で揚げものを作る「おひとりさま用 電気フライヤー」だ。大人数向けの電気フライヤーを一人用にする試み。少量の油で揚げられる、油が捨てやすいなど、細部までこだわったフライヤーを目指すというが、果たして──。 この放送をご覧になりたい方は「テレ東BIZ」へ!
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