Microsoftが、自社のクラウドコンピューティングサービスAzure上に展開していた「Azure Blockchain Service」のサポートを終了すると発表した。既に新規アカウントの作成やデプロイはできなくなっており、9月10日には全てのサポートを終了するとしている。
Azure Blockchainは、2015年に提供が開始されたエンタープライズ向けのブロックチェーンソリューションだ。「BaaS(Blockchain as a Service)」という新たなブロックチェーン市場を確立させた主要サービスの1つであり、黎明期の市場を発展させるのに大きな役割を果たしていた。
ブロックチェーン上にアプリケーションを開発するには、ノードを立てたりバーチャルマシンに接続したりと、初期構築のハードルが極めて高いと言える。Azure Blockchainなどのエンタープライズ向け製品を使えばこういった作業が不要になるだけでなく、日常的な運用コストも大幅に抑えることが可能だ。
Microsoftは、2015年の提供開始後すぐにイーサリアムの開発企業ConsenSysと共同で、「Ethereum Blockchain as a Service(EBaaS)」を発表している。これは、Azure Blockchainを通して簡単にイーサリアム上にアプリケーションを開発できるサービスであり、ローンチ直後のイーサリアムエコシステムを拡大させるのに大きく貢献していた。
今回のサポート終了に伴い、代替サービスとしてQuorumへの移行を促している。Quorumは、JPMorganが開発したエンタープライズブロックチェーン製品の1つであり、2020年にConsenSysが買収している。
Azure Blockchainには、GEやシンガポール航空、スターバックスなど大手企業が顧客として名を連ねているものの、今回の決定により移行を余儀なくされた。なお、サポート終了の経緯は明らかにされていない。