まずは頭金の基本的な役割と目安について確認しておきましょう。
不動産購入における頭金とは、住宅ローンを利用して家を購入する際に、一定の割合で用意しておく自己資金のことです。頭金として用意した分は当然ながら住宅ローン金利の対象外となるため、割合が多ければ多いほど、最終的な元利支払額は少なくなります。
また、住宅ローンのタイプによっては、「フラット35」のように一定割合以上の頭金を用意することで金利が安くなることもあります。そのため、多くのケースで1~2割程度の頭金が用意されているのです。
下の表は、住宅金融支援機構の「フラット35利用者調査」(2019年度)で公表されている頭金の平均額と住宅購入金額に対する平均割合です。
頭金の平均額 | 頭金の平均割合 | |
---|---|---|
注文住宅 | 621.9万円 | 18.0% |
土地付き注文住宅 | 443.2万円 | 10.4% |
建売住宅 | 282.4万円 | 8.1% |
新築分譲マンション | 736.2万円 | 16.3% |
中古一戸建て | 209.0万円 | 8.1% |
中古マンション | 352.1万円 | 11.3% |
住宅の種類によって若干の違いはあるものの、やはり多くの場合で1~2割程度の頭金が準備されていることが分かります。
家計から住宅購入予算を試算する前述のとおり、頭金には重要な役割があるため、返済計画を立てるうえでは一定額の自己資金を用意しておくほうが安心です。しかし、実際には頭金なしで住宅ローンを組むこともできます。
特に現在は住宅ローンの低金利状態が続いているため、フルローンで住宅の購入へ踏み切る方もいます。ただ、フルローンの場合は総支払額や毎月返済額が大きくなるため、より綿密な返済計画を立てる必要があります。
一般的に無理のない返済計画の目安は、「返済負担率」(年収に対する年間返済額の割合)25%以下とされています。そのため、毎月返済額を年収の48分の1と設定して、借り入れ可能な金額を計算してみましょう。
一戸建てを探すマンションを探す上記のように、「頭金ゼロ」の状態で住宅を購入することは可能です。しかし、「頭金ゼロ=貯金ゼロ」という意味ではない点には注意しておく必要があります。
貯金がない状態で住宅を購入するのは、さまざまな理由から難しいといえます。ここでは、貯金ゼロでのマイホーム購入が難しい理由を3つに分けて解説します。
住宅ローン審査においては、利用者の属性や収入状況などのさまざまな項目がチェックされます。通常のローンと比べて、借入金額が大きく返済期間も長期にわたるため、審査も厳しく行われているのです。
そのため、貯金がない状態では、返済能力が低いと判断されてしまい、審査のハードルが高くなってしまう可能性も十分に考えられます。
貯金ゼロでの購入が難しいとされるもっとも大きな理由として、自己資金がないと「手付金」を支払うことができないという問題が挙げられます。手付金とは住宅の売買契約を結ぶ際に支払う契約金のようなものであり、契約当日に現金での支払うのが原則です。
さらに、手付金には売買契約の信頼性を担保する重要な役割があるため、費用の目安は「購入価格の5~10%」と高額です。貯金ゼロの場合は、この手付金が大きなハードルとなり、手続きを先に進められなくなってしまうのです。
なお、無事に購入の手続きが進めば、手付金は購入代金の一部に充てられるのが一般的です。
住宅を購入する際には、諸費用としてさまざまな手数料や税金がかかります。そのなかには、現金で支払わなければならないものも多いため、事前に自己資金を用意しておく必要があるのです。
諸費用については、住宅ローンと別に「諸費用ローン」を借りることができるものの、別途で手数料がかかるのに加えて金利も住宅ローンよりは高めに設定されています。そのため、購入後の返済を考えると、できるだけ現金で用意しておくほうが安心です。
また、持ち家の場合は、取得してからも維持費や税金がかかります。無理なく返済を続けるために、購入時の費用に加えてある程度の生活費を手元に残しておきましょう。
無料でアドバイザーに相談するこれまでにご説明したとおり、住宅の購入時には諸費用が発生するため、事前に目安となる金額を把握しておくと安心です。ここでは、諸費用の目安について見ていきましょう。
諸費用の目安の割合は以下の表のとおりです。
新築一戸建て
中古一戸建て:物件価格の6~9%
新築マンション:物件価格の3~6%
中古マンション:物件価格の6~9%
諸費用を現金で支払うためには、住宅の購入価格に応じて、少なくとも100~300万円程度の資金が必要となります。
一例として、4,000万円の新築建売住宅を購入するケースを想定して、用意すべき自己資金の目安をシミュレーションしてみましょう。まず、諸費用については、「4,000万円×6~9%=240万~360万円」が必要となります。
続いて、頭金を1割用意することを想定すると、400万円の自己資金が必要です。そのため、少なくとも住宅の購入時には640万~760万円の貯金を用意しておく必要があると計算できるのです。
もちろん、実際に入居するためには「引越し費用」「家具・家電購入代金」が必要であり、新生活のために「数ヶ月分の生活費」もそろえておきたいところです。
家計から住宅購入予算を試算するこれまでの項目を通して、マイホーム購入における貯金の必要性を解説しました。住宅を購入する際に、ある程度のまとまったお金が必要となるのは確かです。
しかし、家賃を支払いながら貯金を続けるのは決して簡単なことではありません。効率よく貯蓄を進めるためには、家計簿をつけて支出を見直すことがもっともシンプルな近道です。
最後に、貯金を効率よく進めるための家計簿のつけ方をご紹介します。
家計簿をつけるメリットは、「収支の把握ができる」「無駄遣いを減らせる」といったもののほかに、「スケジュールの見通しが立てられる」点も挙げられます。住宅の購入資金は大きな金額となるため、配偶者や家族の協力なくしてはなかなか目標を実現できません。
毎月の収支を通して、いつまでにどのくらいためられるのかを明らかにすれば、自然と協力を得やすくなるはずです。
家計簿をつける際には、具体的な費目と目安の割合を把握しておくことが大切です。主な項目と、夫婦2人の場合の目安割合を表にまとめたので、参考にしてみてください。
費用項目 | 内容 | 目安の割合 |
---|---|---|
住居費 | 家賃、管理費、家具、家電製品 | 25% |
食費 | 食事代、外食費 | 15% |
水道光熱費 | 電気、ガス、水道料金 | 5% |
通信費 | 携帯電話料金、インターネット回線料 | 6% |
保険料 | 生命保険、傷害保険料など | 4% |
日用品 | 生活必需品購入費用 | 2% |
交際費 | 飲み会などの費用 | 2% |
被服費 | 衣類や靴などの身に着けるものの費用 | 3% |
趣味・娯楽費 | 娯楽にかかる費用 | 3% |
小遣い | その他の自由に使える費用 | 12% |
その他 | 臨時の出費、予備費 | 3% |
貯蓄 | 住宅購入資金の準備用 | 20% |
上記の費目のうち、節約できる項目や割合が多ければ多いほど、当然ながら貯蓄のスピードも速くなります。まずは、現在の家計を見直して、どの費用項目に多くのお金が出てしまっているのかを確かめておきましょう。
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