04 09
消費ムーブメントを学びビジネスに活かそう!

消費トレンドの変化の流れと特徴、そして注目のムーブメントとは

時代の移り変わりとともに、消費者のニーズや価値観が変化しています。「消費トレンド」とまとめましたが、いずれの消費スタイルも共存しているのが実情です。消費者のニーズや価値観を掴み、自社の製品やスタイルとの相性を考えた上で戦略を立てることが大切です。

本記事では、「コト消費」「トキ消費」「イミ消費」「エシカル消費」などの消費スタイルの紹介や背景、ビジネスでのポイントをご紹介します。ビジネスチャンス逃さないためにも、日本の消費ムーブメントの変化に触れておきましょう。

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この記事の目次

  • トキ消費とは
  • イミ消費とは
  • エシカル消費とは
  • 世界的なエシカル消費のムーブメント
  • コロナ禍をバネに消費ムーブメントをビジネスに活かすためには
  • コロナ禍の影響でイミ消費に生じた変化
  • ECサイト×オンライン接客「ライブコマース」
  • 注目したいミレニアル世代の動向
  • まとめ
  • 消費ムーブメントの変化の歴史

    本章では消費ムーブメントの変化の歴史をご紹介します。

    モノ消費とは

    モノ消費は、新しい商品が生み出されては消費されていった、1970年代から80年代の高度経済成長期の消費ムーブメントです。

    高度経済成長期には、家電製品や車などの商品を買い揃える人が多く、商品を所有することに価値を見出していました。

    やがてより便利な製品を購入したりデザイン性に優れた製品に買い替えをしたりして消費がさらに伸びていったのです。

    その流れは、ステータスや高級志向を満たす高級品やブランド品への購買に繋がっていきます。

    そして、大量に作られたモノが溢れた時、消費者はモノではなく体験を求めるように消費スタイルが変化していきました。

    モノ消費は商品というハードを購入するので、形あるモノが手元に残ります。

    コト消費とは

    1990年から2000年はコト消費がメインでした。

    コト消費とは、モノ消費の流れを受けステータスや高級志向を満足させるための精神的な消費のことを指します。

    ハードではなくソフトとして「体験」を消費することに関心が移っていったのです。

    単に家電製品や高級品を購入するのではなく、旅行やグルメそして習い事などの体験をし、それをFacebookやInstagram、そしてTwitterなどで共有することでコメントや「いいね」を集めるようになりました。

    コト消費では、共感や称賛そして羨望を受けることで満足感を得られましたが、他人の体験をインターネット上で疑似体験することができるようになり、自らが改めて同じ体験をする必要性を感じない方も増えるように。

    さらに、SNSでの称賛を追い求めるのに疲れた「SNS疲れ」や、アピールを嫌う向きへの配慮などから、コト消費がゆっくりと見直されて行きました。

    コト消費では定量化が不可能な形のない「想い出」や「人間関係」、そして「体験」などが購入されたのです。

    モノ消費からコト消費へのシフトの具体例

    官公庁は、インバウンドを重視しており、体験型観光コンテンツの拡充に力を入れています。

    VRやARなどの技術を駆使しながら新たな視覚体験を提供したり、日本独自の施設の中で謎解きを楽しむコンテンツなど、最新の取り組みを自治体や観光事業者向けに共有し新しいコンテンツの造成を推奨しているのです。

    こうした取り組みは、国だけではなく自治体でも多く見られ、支援制度が整っていたり多彩なサポートを受けられます。

    トキ消費とは

    博報堂生活総合研究所が2017年から提唱しはじめたのが「トキ消費」です。

    トキ消費は、2010年から見られる消費トレンドで、人と一緒に生み出す「トキ」に参加したいという事象です。

    消費ムーブメントを学びビジネスに活かそう!

    コトの体験に対して、その時やその場でしか味わうことができない盛りあがりを求め、ライブやフェス、クラウドファンディングに参加したりします。

    博報堂生活総合研究所では、トキ消費の3大要件を次のように定めています。その1:非現実性 時間や場所が限定されており同じ体験を2度とすることができないその2:参加性 不特定多数の人と感動や体験を分かち合うことができるその3:貢献性 盛りあがりに貢献していることを実感できる

    イミ消費とは

    イミ消費は、ホットペッパーグルメ外食総研エヴァンジェリストである竹田クニさんが命名しました。

    イミ消費はトキ消費と同じ時代のくくりで、2010年から見られる消費トレンドを指しますが、トキ消費とは定義がやや異なります。

    消費者の価値観の進化によって、製品や生産者に対する共感性や貢献に重きを置いています。

    「どうありたいか(あるべきか)?」という消費のあり方が根本にあり、自然に優しい工法で作られた野菜を買ったり、歴史や文化を継承する製品を購入したりします。

    つまり、「自らの消費行動が人のために役立つアクション」であることを求めているのです。

    イミ消費を取り入れたからと言って、スグに売上に直結するわけではありません。

    しかし、イミ消費は企業や店としての姿勢を打ち出すためのもので、経営理念に共感してくれるファンを増やすことができます。

    こうしたファンが、コロナ禍でクラウドファンディングなどを通して企業や店舗を支えたケースが多くありました。

    ファンを大切に接点を作っておくことは、経営を円滑に進める上でとても重要な取り組みのひとつなのです。

    エシカル消費とは

    SDGsが注目を集める中で「エシカル消費」という言葉が広がってきました。

    SDGsとは、2015年9月に国連サミットで採択されたSustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略称です。

    「誰一人取り残さない」を掲げ、17の目標と169のターゲットから構成されています。

    エシカル消費は、人や社会そして環境や地域などに配慮した消費行動のことを指します。

    従来の経済を優先にした消費行動は、気候変動や生物の多様性の損失などの多彩な問題を抱えていました。

    その反省のもとで、自分だけではなく周りの人や環境がより良くなるように考え購入する消費行動のことです。

    エシカル消費は、「人・社会」「環境」「地域」の3分野に分かれています。

    人・社会とは、社会的に立場の弱い人たちを低賃金で働かせたり児童労働などを助長させず、助けが必要な人を支援することです。

    環境へは、水質の汚染や天然資源を使いすぎたり自然環境を損なうことをせず、自然環境を良くすることです。

    地域というのは、地産地消や応援消費を行うことで、地域社会や地域経済を応援することです。

    世界的なエシカル消費のムーブメント

    ウイグル族の強制労働問題が世界的に注目を集め、日本企業も関係性が取りざたされました。

    ウイグル族はイスラム教の少数民族ですが、中国国内の工場で移動や信仰の自由を奪われ、強制労働されているとオーストラリア戦略政策研究所(ASPI)が発表したのです。

    この発表では、2017年から2019年の2年間に、新疆ウイグル自治区の再教育収容所などから中国全土の向上に8万人ものウイグル人が送られたと指摘しています。

    この問題を受け、関係が取りざたされた企業に対して世界的に不買運動が起きると共に、国だけではなく企業の人権に対する姿勢も問われました。

    参考: Sustainable Brands Japan「ウイグル族の強制労働問題 問われる日本企業のビジネスと人権への対応」

    コロナ禍をバネに消費ムーブメントをビジネスに活かすためには

    第5波・第6波と新型コロナウイルスの流行が続く中で、コロナ禍をバネにして消費ムーブメントをビジネスに活かすためには、コロナ禍で生じた変化を知ることが大切です。

    コロナ禍の影響でオンライン型のトキ消費のニーズが飛躍的に高まった

    コロナ禍により、オンラインライブやオンラインイベント・セミナーなど、オンライン型のトキ消費が注目を集め飛躍的にニーズが高まりました。

    対面だけではなくオンラインという選択肢が広まったことで、住む場所や時間を問わずにより多くの人が参加できるようになったのです。

    オンライン型のトキ消費は今後も注目を浴びると共に、ニーズの増加が見込めるでしょう。

    注目したいモノ・コト・トキの循環

    モノ・コト・トキは密接な関係性があります。

    例えば、ライブ会場を想定して説明すると・ライブ会場限定グッズを発売することで、グッズの購入という「モノ」・ライブ参加という「コト」・会場限定という特別な「トキ」を満たすことができます。

    コトやモノをトキにしたり、トキをモノやコトに変化させたりすることで、新しいトキや価値を生み出すことができるのです。

    コロナ禍の影響でイミ消費に生じた変化

    コロナ禍の緊急事態宣言などによって、会食や外食そして買い物が制限される中で注目を集めたのがデリバリーやテイクアウトそしてお取り寄せです。

    従来では店頭に足を運ぶことでしか購入できなかったモノが、デリバリーやお取り寄せに取り組む店舗が増えたことによって購入しやすくなりました。

    遠方の店舗に足を運ばなくても、経営理念に共感できる企業の製品やアイテムそしてサービスを購入できるようになったのです。

    またコロナ禍の自粛期間中に自分を見つめなおし、消費行動を考え直した方も多いのではないでしょうか。

    こうした流れの中で、イミ消費がより身近になり、消費行動にも変化が生まれました

    ECサイト×オンライン接客「ライブコマース」

    コロナ禍で飛躍的に伸びたコンテンツのひとつに「ライブコマース」があります。

    ライブコマースは、オンラインで商品レビューの動画配信を実施しながら、チャットやコメントでユーザーと配信者がやりとりをする販売形態です。

    リアルタイムで配信者とコミュニケーションを取ることで、製品やサービスに関する消費者の不安を解消しECサイトへの誘導ができます。

    ライブコマースの先進国は中国で、KOL(Key Opinion Leader)と呼ばれているインフルエンサーたちが商品を紹介し販売しています。

    中国ではもともと模倣品の販売がとても多く、商品に対して不信感を抱いているユーザーが沢山いました。ライブコマースで信頼できるKOLが商品を紹介することで、ユーザーの不安を払拭し売上をあげることができるようになったのです。

    日本ではInstagramが活用されており、「特定の人物(アカウント)が紹介するリンクから購入する」というルートを活用し売上をあげているケースが多くあります。また、SNSだけではなくネットショップなどでも取り入れられています。

    注目したいミレニアル世代の動向

    2000年以降に誕生したミレニアル世代は、生まれた時からインターネットやデジタル機器があるデジタルネイティブ世代でもあります。

    この世代は、SNSなどで他社との共感を大事にするコミュニケーションに慣れ親しんでおり、モノよりも体験や経験を重視し共感に重きを置いています。

    現在ミレニアル世代は20代という消費意欲が盛んな時期を迎えており、今後の消費ムーブメントを探るうえで重要な鍵を握っていると言えるでしょう。

    まとめ

    ご紹介したように消費ムーブメントは、時代や価値観の変化とともに変わっていきます。

    現代では高度経済成長期のようにただモノを作れば売れるのではなく、理念や想いなどのストーリーを共有することも大切な取り組みのひとつといえるでしょう。

    自社の製品やサービスと向き合い、理念を大切にしながら活動を続けていくことで、消費ムーブメントの変化が起きたとしても、理解し共感してくれるファンが支えてくれます。

    そのためにも、競合他社との差別化を図るだけではなく、積極的な情報発信が求められます。インターネット上の取り組みだけではなく、購入時のお礼レターや季節の挨拶の手紙などが有効なケースも多くあります。

    ターゲットに合わせて適切な施策を施し適切な接点を作って、顧客との関係性を構築していきましょう。

    消費ムーブメントの潮流を掴むだけではなく、ターゲットに応じて起業や店舗にあった施策を行うことが大切なポイントです。

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    (編集:創業手帳編集部)

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