植物は、私たちに食べものを提供し、木陰をつくる生物です。でも、魔法の力があるわけではありません。
たしかに熱帯雨林は、二酸化炭素を取り除き、酸素をつくり出してくれるという意味で、私たちの生態系にとってなくてはならないものです。
けれども、『The Atlantic』の記事にもあるように、部屋に置いた植物が、室内の空気の毒素を取り除いてくれるという説は、残念ながらナンセンスなのです。
植物を買うのは、部屋を飾ったり、ストレスを軽減させたりするためであり、空気をきれいにするためではない、という理由をご説明しましょう。
自然界では、植物は酸素をつくり、二酸化炭素吸収源として働き、さらには汚染物質を吸収して生態系を健全に保っています。だからといって、その効果がそのまま小さな家に当てはまるわけではありません。
情報サイト「Science Alert」によると、実際に空気中の毒素を効果的に取り除くためには、「居住空間1平方メートルにつき、10~1000個の植物が必要」だということです。温室にでも住んでいない限り、あまり現実的とは言えません。
植物が、狭い空間の空気に含まれる毒素を取り除く説が広まったのは、1980年代です。
NASAの科学者Bill Wolverton氏が行った研究から、特定の植物に、密閉された環境の空気に含まれる揮発性有機化合物(VOC)を取り除く力があることが分かりました。
この研究は、長期にわたって密閉された空間で生活する宇宙飛行士の生活を念頭に置いて行われました。
でも今は、「もっと植物を買って家のあちこちに置くべきだ」という説の根拠として、誤って使われることが多くなってしまいました。
ドレクセル大学工学部教授のMichael Waring博士は、1989年の研究結果は、平均的な家庭には当てはまらない、と「The Atlantic」の記事のなかで説明しています。
何時間も密閉された空間にいなければならない科学者や宇宙飛行士なら、鉢植えの植物を1~2個持ち込むのもいいと思います。
でも、自分の家の空気がきれいかどうかを心配している人は、窓を開けるべきでしょう。
自分の家の空気をきれいにしてほしいという間違った期待をもって特定の植物を買うのではなく、植物が与えてくれる心理面・感情面のメリットを考えて買いましょう。
「Healthline」の記事によれば、植物がたくさんある家で生活していると、ストレスが軽減されやすくなり、生産性が上がるそうです。ペパーミントやラベンダーなどの香りが、よりリラックスできる環境をつくってくれるだけではなく、植物の世話をすることで気分も良くなります。
CNBCの記事は、フルタイムでデスクワークをしている人が休憩時に植物の世話をしたところ、脈拍数が減り、不安レベルが下がったという日本の研究結果を伝えています。
植物がストレス軽減に役立つと謳うサイトのいくつかが、植物を使って空気をきれいにすることをすすめるサイトであることも事実です。
家の中を花と緑でいっぱいにすることには何の問題もありませんが、これだけは覚えておきましょう。植物には偉大な力がありますが、それは魔法の力ではないということです。
ですから、家の空気をきれいにしたいなら、パンジーだけではなく、空気清浄機も買うことをおすすめします。
(観葉植物)ハーブ苗 ミント ペニーロイヤルミント 3号(1ポット) 虫除け植物 家庭菜園392円
Source:The Atlantic, Science Alert, Healthline, CNBC, Royal Parks, Billyoh, Client Earth, Camfil, NTRS, EPA, HGTV, Drexel University, ASHS