BALMUDA Phone image by: FASHIONSNAP
バルミューダが5Gスマートフォン「BALMUDA Phone」を昨年11月に発売してから約3ヶ月。BALMUDA Phoneの一時出荷停止や、株取得問題による社外取締役の辞任など、この短期間で同社はさまざまな事象に見舞われた。2021年12月期決算説明会の冒頭、寺尾玄代表取締役社長は「私自身、主力商品『GreenFan』を発売した頃のような目まぐるしさの中で過ごした3ヶ月だった。BALMUDA Phoneの販売停止については、販売パートナーのソフトバンク様はじめ、株主・投資家の皆さん、BALMUDA Phoneをお使いのお客様といった多くの方々にご心配とご迷惑をお掛けしてしまった」とし、謝罪の言葉を述べた。発売直後からSNSを中心にさまざまな意見が寄せられたBALMUDA Phoneに対して、寺尾社長は今どのように受け止めているのか。
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BALMUDA Phoneは新ブランド「BALMUDA Technologies」の第1弾商品。京セラを製造パートナーに迎えて開発された。手のひらに収まるサイズ感で、4.9インチのフルHDディスプレイと直線を含まない曲線のみで構成されたデザインが特徴となっている。SIMフリーモデルの価格は税込10万4800円。全国のソフトバンクショップ、ソフトバンクオンラインショップ、バルミューダ公式オンラインストアで取り扱っている。 寺尾社長が十数年ぶりにデザイナーに復帰し、約2年の開発期間を経て満を持して披露されたプロダクトだったが、発表直後から価格や機能面・デザイン面において賛否両論の意見が挙がった。寺尾社長は「発売前から始まっていたネット上での逆風というのは全く想定していなかった。やっと自分の中で仮説を立てることが出来たのは発売から約1ヶ月後。そこに至るまでの間、ソフトバンクの方に会って話をしたり、私も店頭に立ってお客さまの声を聞くことで何が起きているのか理解しようとした。想定外の事態に対応すべく社内のチームと共に、さまざまな施策を打ってきているが、現時点で少しずつ旗色は変わり始めていると感じている」と振り返る。 ヒット商品をロングスパンで売り続けてきたバルミューダにとって、絶えず新たな機能を搭載した製品が投入されるスマートフォン業界は、これまで勝負してきた家電業界と市場環境が大きく異なる。「家電業界とはスピード感が全く違うため、早く慣れなければと感じている。スピード感の違う世界と出会い、かつアプリケーションという新たな可能性を手に入れ、これまでに無い全く新しいアイテム開発に関与するチャンスも得られた。スマホを作る前のバルミューダにはなかった巨大な可能性を手にしたと強く感じた」(寺尾社長)。 販売状況については「私たちが望んだ状況とは乖離がある」とし、理由として発表後からネット上に寄せられたネガティブな見解というのが大きな影響を及ぼしていると挙げる。商品の評価について厳しい意見も寄せられる中、一方で「BALMUDA Phoneを実際にお使い頂いていた方にはご好評を頂いている」といい、購入者の顧客満足度が高いといったデータが出ているという。 こうした中、BALMUDA Phoneの販売パートナーであるソフトバンクでは、ソフトバンクショップ(直営店)での購入者を対象としたキャンペーンを発表した。契約時に特定の条件を満たすと、BALMUDA Phoneを実質半額で購入できる内容だ。今回のタイミングで割引が行われることについて「当然ながら万人向けの製品ではないが、お使い頂く方を少しでも増やせたらというシンプルな思いから発動したキャンペーンであると私は認識している。当社にとっても望ましいことだと考えている」(寺尾社長)。主力の家電商品への影響については「さまざま市場調査を行なっているが、BALMUDA Phoneを発売したことによって当社の認知度は大きく上がり、チャレンジ精神が旺盛な企業として評価されている。ブランド価値の毀損は現時点で一切認知していない」と見解を示す。実際に11月、12月、1月の家電商品の売り上げは好調に推移したという。 今期は「BALMUDA Technologies」カテゴリにおいて、BALMUDA Phoneの継続的な価値向上、新商品投入に取り組む計画。今後の戦略に関する詳細については明かされなかったものの、ハードウェアをはじめ、アプリケーション、関連サービスの研究開発において複数のプロジェクトが進められている。「今回、デバイスに関しては本当にさまざまな声を頂いた。これらをどう咀嚼して我々なりに仕上げていくか、さまざまなパターンを検討して開発を進めている段階。ネット上での評価には、その声の大きさ、声の多さに本当に驚かされたが、市場のポテンシャルの高さやエネルギーを感じることができた。あれだけのエネルギーは何かになるだろうなと。彼らのご期待にもし我々が応えることが出来たら、すごい成果が出せるんじゃないかと感じている」と話し、今後もスマホ市場での挑戦を続けていく姿勢を示した。