例年この時期に話題になる「エアコンの試運転」。なんとなく先送りしてしまいがちだが、今年ばかりは実行したほうが良さそうだ。テレワークなどコロナ禍の生活の変化によりエアコンの負荷が増している。
エアコン試運転の様子(ダイキン工業の動画より)空調機器大手のダイキン工業が3月に実施した調査によると「コロナ禍で在宅勤務をした世帯では冬のエアコン使用時間が前年の約1.8倍に増えた。ほぼ2シーズン分、稼働したことになる」という。それだけトラブルが発生する可能性も上がる。
(ダイキン工業の動画より)夏本番を迎えてから故障が判明した場合、修理を依頼しても待たされる可能性が高い。三菱電機空調冷熱システム事業部の鳥海采さんは「7月の設置・修理工事は4月の3倍以上。中でも梅雨明けからお盆明けまでの時期は多忙を極める」と話す。ダイキンも7月8月に寄せられるエアコンに関する問い合わせは4月5月の約3倍に上るという。
さらに「エアコン以外の家電製品の修理や工事の繁忙期もエアコンと重なります」と鳥海さん。実際、2020年はテレワークの影響かエアコンに比べて換気扇などの換気設備の設置や修理の工事が目立ったという。
「在宅時間の増加により、今まではあまりなかった結露による案件が増えました。(感染予防の)窓開け換気で湿度の高い空気が流入し、結露します」
繁忙期になると作業員は一時的に不足し、修理を依頼しても待たされる可能性が高い。ダイキンは「エアコンがない不快な夏を我慢して過ごさなければなりません。それだけではなく、熱中症のリスクも高まります」と警鐘を鳴らす。
早めに故障が判明すれば待つ時間は減り、作業員の負担も分散する。夏前の試運転は双方に大きなメリットがある。
試運転の方法はどのメーカーでも基本的に同じだ。
(1)運転モードを「冷房」、温度を16℃から18℃(機種ごとの最低温度)に設定して10分程度運転
(2)冷風がきちんと出ているか、異常を示すランプが点滅していないかを確認する
(3)異臭や異音がないか確認する
(4)その後30分程度運転を続け、室内機の下側に水漏れが起きていないかを確認する
(5)外のドレンホースから水が出ていることを確認する
(6)室外機の周囲に空気の流れを悪くする物が置かれていないか確認し、あれば取り除く
不具合があったときはエアコンを購入した販売店かメーカーに修理を依頼する。ただしエアコンが全く動かなかった場合は電話をする前にコンセントやリモコンの電池をチェック。ダイキンによると、毎年一定数はリモコンの電池切れが原因だったケースがあるという。
三菱電機は両親と離れて暮らす人に向け、実家のエアコンも試運転することを勧める。「新型コロナウイルスの影響で県境をまたく移動を控えるなど、両親のところに行って試運転してあげられないことも多いはず。その場合は両親やサポートしてくれる人に電話やメールで確認しながら試運転してください」。
電話やメールで確認しながら試運転を行う際の手順と注意点(出典は三菱電機)