グリーンズではこれまでミニ太陽光発電システムの組み立て“つないでみる”ワークショップを行ってきましたが、「持ち帰りたい!」という声が多数寄せられていました。そんな声にお応えして今回、“作ってみる”ワークショップを開催!
場所は東京・虎ノ門のリトルトーキョー=わたしたち電力館。藤野電力の佐々木さんを講師に迎え、参加者みんなで協力し、ミニ太陽光発電システムを作り上げました。
そもそも「ミニ太陽光発電システムって何?」という方もおられるかもしれません。一言で言うとそれは、出力が50Wのソーラーパネルとバッテリーなどを使った組み立てキットのこと。
ソーラーパネルで発電した電気は、電化製品を直接つないで使用することができます。どれぐらい電気が作れるかというと、バッテリーにフル充電すれば、・6WのLED照明やスマートフォンの充電なら30時間・小型のノートパソコンなら4時間(50Wのソーラーパネル、12V 32Ah/20Hr のディープサイクルバッテリーを使用した場合の目安)ほどです。
この小さな「発電所」を作って、持って帰って、使ってみよう!というのが今回のワークショップの趣旨です。過去、green drinks 房総やgreen drinks 松戸で行われたワークショップの記事を見てもらえればよく分かると思います。DIY感覚で電気を手作りするイメージですね。
9月22日(日)の午後、7名の参加者が「わたしたち電力館」に集まってきました。それぞれ職業も年代も関心もばらばら。遠くは三重県・四日市市から参加してくださった方もいらっしゃいました!
実際に作って持って帰る人は3人。他の4人は見学したり作るのを手伝ったり。一人で全ての作業をやり切るのはなかなか大変なので、何人かで協力して作業を進めます。
今回レクチャーをしてくださったのは藤野電力の佐々木博信さん。冗談を交えたアッパーな語り口に、参加者の皆さんも自然と笑顔がほころびます。
実は佐々木さん、電気関係の仕事をしているわけでもなく、特別な資格を持っているわけではありません。もちろん電気の仕組みやシステムを安全に組み立てるための知識はお持ちですが、その道の「プロ」というわけではないのです。「だからいいんですよ」と佐々木さんは語ります。
佐々木さんのお話の後、早速ワークショップ開始!電工ペンチというちょっと特殊なペンチを使って、ケーブルの被膜をむく作業から入ります。
中心を通る芯線を傷つけないようにやさしく、かといって力を抜き過ぎると被膜はむけず。余裕でできる人、やや手こずる人とさまざまですが、お互いに手を貸し合いながら、作業を進めていきます。
「自転車のチューブと同じ要領ですね」
組み立て作業は、プラモデルを作る感覚に近いでしょうか。説明書の通りに、ケーブルを切って、つないでいくと、段々と完成形に近づいてくるのが実感できます。各機材がどんな役割を持っているのか、佐々木さんが逐次説明してくれるので、参加者の皆さんも一つ一つ納得しながら作業を進められたようでした。
「どれどれ〜おぉ!完璧!」
「パネルで発電した電気は、このケーブルを通ってバッテリーに溜まるのか~」。ケーブルを指でたどりながら、電気の流れを確認する参加者の方もいらっしゃいました。
普通、電力会社から電気を買ったときはコンセントに機材を差し込んで使うだけで、どうやって電気を作っているのか、どこから電気が運ばれてくるのかが分かりません。しかし、ミニ太陽光発電システムは構成がとてもシンプルなため、どこで電気が作られて、どうやって運ばれているのかが手に取るように分かるのです。「見えない」電気がまるで「見える」ようになってくるようです。
チャージコントローラーとバッテリーにケーブルを接続すれば、前半の作業は終了。一息ついたところで…突然ですが、greenz.jp読者の皆さんの中には、「わたしたち電力館」って何?と思っている方もいるのでは?(むりやり?笑)
そこで、名付け人でありgreenz.jp発行人・鈴木菜央に聞いてみました。
Q.「わたしたち電力」って何ですか?
鈴木 ものすごく中央集権的になってしまって、遠くのことになってしまったエネルギを―、わたしたちの手に取り戻し、一人ひとりも、コミュニティも元気にしていこうよ!という全国的なムーブメント、それが「わたしたち電力」です。
「エネルギーを自分でつくれたらいいのに」と思っている皆さんを応援したいと考えています。具体的には、手づくりの独立型太陽光発電システムを組み立てるワークショップを通じて、この動きを全国に広げる活動をしています。
Q.では「わたしたち電力館」というのは?
鈴木 電気を作ることってわくわくすることだと思うんです。そのわくわくを伝える場所がここ、「わたしたち電力館(リトルトーキョー)」です。関東に在住の方は、東京・渋谷にある「電力館」に行ったことがあるかもしれません。東京電力のPR施設なのですが、幼い頃ここに行ったときのわくわくした思いは今も記憶に残っています。
ここリトルトーキョーでも同じように、心を踊らせるような体験を届けたい。そう考えて、一種のパロディとして(笑)「わたしたち電力館」と名付けました。ちなみに「わたしたち電力館」の本館は、藤野電力さんのご厚意で、彼らの本拠地である、神奈川県・藤野にある「牧郷ラボ」に置かせてもらっています。
Q.「電気を手作りするわくわく」ってどんな感覚でしょう?
鈴木 たとえて言うなら、草野球とか草サッカーをする感じですね。プロではないけど、自分でプレーすれば楽しいじゃないですか。それと同じで、自分で太陽光発電システムを組み立てて、自分が使いたいようにつかってみる。いろいろな電化製品につないでみて、「これは使えるな」とか「これはちょっと無理だな」というのが分かる。すると肌感覚で電気のことが分かってくるんです。プロの電気屋とまではいかないけれども、自分で自由に電気を扱える。自分のものになった感じがする。それがわくわくする感覚につながってくると思います。
Q.「わたしたち電力館」は東京の真ん中、虎ノ門にありますね。
鈴木 東京23区はある種の空白区だと思っています。自ら電気を作ることにリアリティがない街なんです。だからこそここで、電気の手作りを実践することに意味があると思っています。これからもどんどんワークショップを開催していきます!きっと楽しいですよ!
さて、ワークショップの後半では次々と各機材をつないでいきます。前半で作業自体に慣れとてもスムーズ。作業を協力し合うチームワークも生まれ始めました。
「ちゃんと点くとうれしいなぁ」
全てのケーブルを接続し終えてソーラーパネルを裏返すとチャージコントローラーの「Charge」ランプが点灯、直流のLED電球をシガーソケットに接続すれば、灯りが点きました。無事システムが組み上がり、皆さんとてもうれしそうです。
「ミニ太陽光発電システムを作ると、電気を『愛でる』感覚が生まれてきませんか?」と佐々木さん。「あとは皆さん次第です」とワークショップの最後を締めくくってくれました。
実際にミニ太陽光発電システムを持ち帰った3組の皆さんはワークショップの体験をどのように受け取ったのでしょうか?
三重県からお越しの3人
人材育成講師の男性
友人同士で参加されたお二人
ミニ太陽光発電システムを持ち帰った人が、発電ライフを楽しむ。その楽しみ方をシェアして、また仲間が広がっていく。そんなふうに、電気の手作りが広がっていくと良いですね。皆さんもお近くで開催されるワークショップに参加されてみてはいかがでしょうか?