まずは、注文住宅の平均購入資金について「すでに土地を所有している場合」と「これから土地を購入する場合」の2パターンから紹介します。
国土交通省「令和2年度 住宅市場動向調査」によれば、注文住宅の平均費用は、土地の購入を含めた場合は4,606万円、土地の購入を含めない場合で3,055万円とされています。
そのため、まずはこの価格帯がひとつの水準になるといえるでしょう。しかし、土地付きの注文住宅については、購入するエリアによって大きな差が生まれる点にも目を向ける必要があります。
特に、地価の高い東京23区での購入を検討している場合は、平均的な相場よりも予算を高く見積もっておくことが大切です。また、住宅の広さによっても価格が異なるので、広さの水準も意識しておきましょう。
注文住宅における建築予算の平均は3,055万円とされているものの、細かな金額はプランや広さに大きく左右されます。注文住宅は間取りや設備、デザインなどの自由度が高い分だけ、費用に違いが生まれやすいのです。
ここでは、予算別に実現できる一戸建てのイメージを見ていきましょう。
予算としては平均よりもかなり低いですが、工夫次第で十分な品質を備える住宅を建てることもできます。
一般的には坪単価40万円以下の「ローコスト住宅」と呼ばれる住宅がメインの選択肢となり、具体的には以下のような方法でコストの削減が実現できます。
総二階建てとは、1階と2階を同じ床面積にそろえる構造のことです。外壁の凹凸を減らすことで必要な建材や工程が少なくなり、コストを抑えることができるのです。
また、上下階のバランスが保たれやすくなるため、低コストで耐震性や断熱性、気密性の向上も期待できます。さらに、室内においては、収納スペースや居室の数を減らすことで、間仕切りやドアなどのコストを削減するといったポイントが挙げられます。
このように、ローコスト住宅ではできるだけ品質を落とさず、仕入れや工程の効率化によって、コストのみを抑える工夫がされているのです。
平均よりはやや低い水準ではあるものの、1,000万円台と比べると以下のようなポイントに違いが生まれます。
とはいえ、上記のようなこだわりをすべて実現できるわけではありません。そのため、納得のいく家づくりを行うためには、設備や条件の優先順位を明確にして、コストをかけるところとそうでないところのメリハリをつけることが大切です。
先ほど紹介した平均資金に近い価格帯であり、希望する条件をおおむね実現できる予算だといえます。
平均費用よりも1,000万円近くの余裕があるので、以下のようにさまざまなプランが実現可能だといえます。
多くの注文住宅では、費用と品質の両立に優れた木造が選ばれているものの、鉄骨造や鉄筋コンクリート造と比べて、木造は柱や壁の量が増えてしまうという欠点もあります。
4,000万円台の建築費予算があれば、コストのかかりやすい鉄骨造などを選ぶことも可能なので、柱を取り払った広い間口のリビング、大きな窓といったこだわりが実現できるのです。
また、住み心地やデザイン性に優れた自然素材の家や、住居スペースを独立させた完全分離型の二世帯住宅なども視野に入ります。
中古一戸建てを探す新築一戸建てを探す注文住宅を探す建売住宅の場合は、プランや工程がハウスメーカーによって画一化されていることが多いため、注文住宅と比べれば建築費用にあまり大きな差は生まれにくいといえます。
ただ、購入資金にあらかじめ土地代が組み込まれているので、どのエリアで購入するかによって、総費用には違いが生まれます。
「令和2年度 住宅市場動向調査」によれば、三大都市圏における建売住宅の平均購入資金は3,826万円。首都圏エリアの平均所要資金は、土地付き注文住宅と同じく、その他のエリアよりも高い水準となっています。
また、注文住宅のように自由なプランを実現できるわけではないものの、一般的な住宅から高性能なハイグレード住宅まで選択肢には幅があります。そのため、まずは無理のない予算を決めてから、プランとのバランスを考慮しつつ購入を検討しましょう。
マイホームの購入予算について考えるうえでは、物件の購入代金だけでなく、付随する諸費用についても目を向ける必要があります。ここでは、諸費用の主な内訳と目安金額について見ていきましょう。
諸費用には、物件の購入に必要なものと、住宅ローン利用時に必要なものの2種類があります。また、注文住宅で土地の購入からスタートする場合は、土地購入に関する諸費用もかかります。
まずは、物件購入時に必要なコストについて見ていきましょう。
費用の項目 | 内容 | 計算方法・金額の目安 |
---|---|---|
印紙税 | 売買契約書に貼る印紙代 | 1万~3万円 |
不動産取得税 | 不動産取得時に発生する地方税 | 0円~固定資産税評価額の3% |
登録免許税 | 所有権の移転・保存登記に必要な国税 | 固定資産税評価額の0.1~2% |
司法書士への依頼料 | 登記代行の依頼料 | 10万円前後 |
仲介手数料※ | 不動産会社に支払う成功報酬 | 物件価格×3%+6万円+消費税が上限 |
※不動産会社の仲介で建売住宅を購入する場合
また、住宅ローンを利用するときには、以下のような諸費用がかかります。
費用の項目 | 内容 | 計算方法・金額の目安 |
---|---|---|
印紙税 | 金銭消費貸借契約書に貼る印紙代 | 2万~4万円 |
登録免許税 | 抵当権設定登記に必要な国税 | 借入額の0.1~0.4% |
司法書士への依頼料 | 登記代行の依頼料 | 4万~8万円 |
ローン手数料 | 金融機関に支払う手数料 | 3万~5万円 |
ローン保証料 | 保証会社に支払う保証料 | 借入額の0.5~2%程度 |
物件調査料※ | 物件が融資基準を満たしているか調査する際の依頼料 | 6万~8万円程度 |
火災保険料 | 住宅ローン利用時に必須となる場合が多い | 契約内容によって異なる |
※「フラット35」などの住宅ローンを利用する場合
そして、土地の購入を行う際の諸費用には、以下のようなものがあります。
費用の項目 | 内容 | 計算方法・金額の目安 |
---|---|---|
仲介手数料 | 土地を仲介してくれた不動産会社に支払う手数料 | 物件価格×3%+6万円+消費税が上限 |
登録免許税 | 所有権移転登記に必要な国税 | 土地の固定資産税評価額×1.5% |
印紙税 | 土地の売買契約書に貼る印紙代 | 1万円程度 |
また、状況に応じて地盤の調査や改良が必要なケースもあり、その場合はさらに費用がかかってしまいます。
そのため、土地選びから家づくりをスタートする際には、建築を依頼する施工会社に相談し、トータルコストを考慮しながら購入を検討しましょう。
諸費用の具体的な金額は個別のケースによって異なるものの、次のような割合が目安とされています。
諸費用の目安割合
このように、諸費用の金額は決して安くはないため、あらかじめ予算に組み込んでおくことが大切です。
中古一戸建てを探す新築一戸建てを探す注文住宅を探す最後に、住宅の購入予算を決める手順やコツについて見ていきましょう。
住宅の購入予算は「頭金+住宅ローン借入額」で決まります。そのため、まずは頭金の金額を明確にしましょう。
ただ、住宅の購入時には前述のとおり諸費用もかかるため、自己資金のすべてを頭金に充てるべきではありません。また、購入後の生活費や引越し代金なども考え、予備費として少なくとも半年分以上の生活費を残しておくことも大切です。
つまり、「自己資金-(諸費用+予備費)=頭金」として計算する必要があります。
続いて、住宅ローン借入額をシミュレーションしましょう。借入可能額を決める際には、「返済負担率」を通して、毎月どのくらいの返済額を負担できるのかを計算することが大切です。
返済負担率とは、「年収に対する年間返済額の割合」のことであり、一般的には25%以内であれば無理のない範囲とされています。
たとえば、年収400万円で返済負担率を25%とした場合、月々の返済額は「400万円×0.25÷12ヶ月=8.3万円」となります。つまり、毎月の支払いが年収の48分の1の8万3,000円以下に収まるような返済計画ならば、安全性が高いと判断されやすいのです。
そこで、現在の年収の「48分の1」に毎月の返済額を設定して、住宅ローンシミュレーターで借入可能額を計算してみましょう。また、住宅ローン借入可能額は毎月の返済額のほかに、返済期間や金利、返済プランなどによっても異なります。
そのため、シミュレーションをするときには返済期間を検討したうえで、実際に利用したい住宅ローン商品の金利タイプや利率を反映させることが大切です。