THQ Nordic Japanは5月25日、オープンワールドアクションRPG『バイオミュータント(BIOMUTANT)』を発売する。対応プラットフォームはPC(Steam/Epic Gamesストア/GOG.com/Humble)/PS4/Xbox One。PC版は5月26日発売となる。2017年に発表され、当初は2018年の発売が予定されていた本作。クオリティアップのための延期を重ねた作品がついに登場ということもあって、期待が高まっている方も多いことだろう。
本作には「ケモノ」「オープンワールド」「ポストアポカリプス」といった要素が詰め込まれており、先行して公開されているトレイラーにも、豊かな自然に埋もれた文明の遺物を探索するケモノの主人公の姿が映し出されている。しかし一方で、具体的にどういったゲーム内容なのか、あまりイメージが湧かない方もいるのではないだろうか。そこで今回はゲーム(PS4版)をある程度楽しむ機会を頂いたので、想定される疑問点に答えるかたちでゲーム内容を紹介していきたい。
『バイオミュータント』の舞台は文明崩壊後の近未来。崩壊前に存在した大企業・トクサノール社による環境汚染の結果、生物はミュータント化し人類は滅亡してしまった。現在はミュータント化した生物たちが「トライブ」と呼ばれるいくつかの集団を形成し、群雄割拠の時代となっている。世界には森に埋もれたコンクリートの廃墟、文明の残り香を感じられる壊れた家電類、愚かな人間の過ちの記録などが点在し、ポストアポカリプスの定番といえるような要素もしっかりと押さえられている。
主人公は母親から武術「ワン・フー」を受け継いだケモノのキャラクターだ。ストーリーは柱となるいくつかのメインクエストと膨大な数のサブクエストが中心となって進んでいく。世界の中心にある「生命の樹」の根を食い荒らすモンスター「ワールドイーター」の問題を解決すること、いずれかのトライブに所属して派閥を統一すること、少しずつ明かされていく自身の過去との決着をつけることがゲームの大きな目標となる。サブクエストはNPCのお願いを聞いたり、旧文明の遺物を探して回ったりなど、本作の世界観をより深く理解できるような内容となっている。
ポストアポカリプスというジャンルの共通点に加え、探索要素も『Fallout』シリーズに近いものを感じた。『バイオミュータント』ではマップ上に点在するロケーションにある旧文明の建物からアイテムを回収し、不要なものは分解してクラフト部品に充てられる。ロケーションや衣類にはややアメリカンな雰囲気もあり、『Fallout』シリーズでゴミ漁りをするのが好きなプレイヤーには琴線に触れるものがあるのではないだろうか。
また、装備をはじめとした各種アイテムにはレアリティが設定されており、発掘したアイテムを使ってキャラクターを強化できる。
ロケーションから回収できるアイテムには、5段階のレアリティが存在する。本作の武器はグリップや銃口、剣先といった複数の部品から構成されており、部品それぞれにレアリティが付随する。これらを組み合わせることでよりレアリティが高く、強い効果が付いた武器を作ることができる。また、防具にはアドオンを追加することができ、このアドオンも5段階のレアリティから発掘することができる。
本作ではキャラクタークリエイトの時点で選択するクラスごとに得意な戦い方が異なる。とはいえ、レベルアップや探索によって入手できる「アップグレードポイント」を消費して「ステータスボーナス」を獲得することで、クラスにとらわれずに好みの武器の威力を伸ばすことも可能だ。
ステータスボーナスには共通のものとは別にクラス固有のスキルもあり、こちらもアップグレードポイントを消費して取得することができる。たとえば射撃に特化したクラスであるデッドアイなら「遠隔攻撃武器のリロード時間短縮」「両手持ちの銃のダメージアップ」といったスキルを獲得可能だ。スキルはツリー方式ではなく、一覧から選択する形式となる。入手できるポイントには比較的余裕があるので、取り返しのつかない事態にはなりにくいだろう。
「デッドアイ」「コマンドー」「サイフリーク」「サボター」「センチネル」のクラスから1つを選択することができる。また、ダウンロード版の予約購入特典であるDLCを適用すれば、「マーセナリー」のクラスも選択可能。デッドアイなら射撃、サイフリークならサイ攻撃(超能力)といったようにそれぞれ得意とする攻撃方法が異なっており、レベルアップや探索で獲得できるポイントを消費することでクラスごとに異なるスキルを獲得可能である。
本作の難易度は「イージー」「ミディアム」「ハード」の3段階あり、難易度ミディアムでは戦闘にそこまで神経は使わない。回避アクションの使い勝手が良いため、敵のモーションが見えたらとりあえず回避ボタンを押す、で大抵の場面はどうにかなる。回復手段も豊富。装備が整わない初期の段階では敵がやや固い印象だが、レアリティの高い武器を手に入れると世界がガラっと変わることだろう。
最終的に探索によって強い武器を手に入れると難易度はかなり下がり、コンボを考えずに攻撃ボタンだけを連打していても大抵の敵を倒せるようになる。難易度は途中で変更もできるため、手ごたえがなくなってきたらハードに切り替えても良いだろう。
参考までに、筆者のアクションゲーム遍歴を記載させていただこう。同じTHQ Nordicの『Darksiders Genesis』では探索のほうが得意で、戦闘面は一緒にマルチプレイをしていた友人に助けてもらいながらクリアした。シングルプレイのアクションゲームだと、『Nier』シリーズや『Fallout』シリーズはノーマル難易度であまり苦戦せずクリアできている。
基本的な近接武器は「片手スラッシュ武器」「両手スラッシュ武器」「クラッシュ武器」の3種類。これに加えて素手での格闘が存在し、それぞれアップグレードポイントを消費して固有のアクションを取得する。片手スラッシュ武器は別途アップグレードポイントを消費することで二刀流が可能となる。
遠隔武器には「銃」「ライフル」「オートマチックライフル」「ショットガン」の4種類が存在し、銃はアップグレードポイントの消費によって二丁拳銃が可能となる。
基本的な3+4種類の武器に加え、一定条件を満たすことで手に入るユニーク装備にあたるものも存在する。詳細は伏せるが、独自のアクションを楽しめるラインナップとなっている。
武器ごとに異なるコンボ技が存在し、アップグレードポイントを消費することでコンボ技を開放することができる。ポイントで開放したコンボ技は敵にヒットさせることで「スーパー・ワン・フー」アイコンをためることができ、これを3つためることでスーパー・ワン・フー状態を発動することが可能となる。スーパー・ワン・フー状態は一種のトランス状態で、発動時間中は強力な攻撃を繰り出すことができる。
道中で見つけたロケーションはくまなく探索するスタンスのプレイで、筆者はクリアまで30時間程度かかった。サブクエストは半分ほど残っている状態だ。本作では旧世界の遺物を探したり、決められたロケーションを回ったりといった探索系のサブクエストがかなり多い。本作の世界観をより深く楽しむならば、寄り道をしながらプレイするのがおすすめだ。
探索系のサブクエストをこなすことで、世界中に残された旧世界の遺物を発見することができる。探索を極めたいのであればサブクエストをこなすのが近道となるだろう。また、各地のロケーションで発見できる武器や防具、クラフト素材の収集を繰り返すことで自身を強化することも可能。
探索やバトルはすべて三人称視点で描かれる。例外的に、旧文明の遺物である機械の修理など、パズル要素がある部分を遊ぶときのみ一人称視点となる。
本作ではキャラクタークリエイトの際に6種類の種族を選択できるが、いずれも「基本的に二足歩行(走る際は四足歩行)」「頭頂部に2つの耳を持つ」「ネコ科とげっ歯類の特徴を併せ持つ」といった特徴は変わらない。顔立ちがややワイルドであったり、目鼻立ちが可愛らしかったりといった外見の雰囲気に違いがあり、種族ごとに初期ステータスも異なっている。
種族選択のあとに遺伝子構造を選ぶことで6種類のステータスを伸ばすことができ、たとえば「知性」に特化すれば頭でっかちに、「腕力」に特化すれば肩幅の広いがっしりとした体格となる。初期設定とは別に、ステータスは後からレベルアップごとに10ずつパラメータを振ることもできるため、ここは外見の好みで決めてしまっても構わないだろう。また、本作には属性ダメージや地形によるスリップダメージが存在するが、キャラクタークリエイトではそれに対する耐性も決定することができる。この耐性によって腕の色が変化する。
外見の柄や色も変更が可能。こちらはパラメータには関わらない要素である。また、性別は選択することができず、中性的。女性的なシルエットのケモノを作成することはできない。ちなみに主人公のボイスは少年のような、比較的かわいげを感じる声で固定されている。
本作は音声も含めて日本語に対応しているが、やや難解な点がいくつかある。ひとつは、詩的な言い回しが多いため、テキストが平易な日本語とは言いがたい点。もうひとつは、NPCとの会話は基本的に独特の言語で話され、それを相棒のオートマトン(後述)が翻訳して主人公に聞かせるという伝文体をとっている点だ。このため、独特の言い回しに慣れるまではストーリーに入りこむのに時間がかかるかもしれない。とはいえ、システムのチュートリアルや解説部分の翻訳はなされており、ゲームプレイに支障はない。またポストアポカリプスの世界では独自の固有名詞が数多く存在しており、初見では戸惑うこともある。最初は分からない単語があっても、後から徐々に意味がつかめてくるのを楽しむくらいの気持ちで聞き流すのがいいだろう。
「ケモノ」というポイントに興味を惹かれなかったプレイヤーに特にお伝えしたいのだが、本作は決して動物キャラ好きのみにターゲットを絞ったゲームではない。ゲームの目玉要素はオープンワールドの探索が好きなプレイヤーに向けた部分が大半であり、モフモフに興味がなくともゲームは十分に楽しめる。ポストアポカリプスな世界観など、別の性癖に刺さるユーザーもいるだろう。筆者はケモノに対して強烈な嗜好がある方ではないが、廃墟探索や戦闘といった要素から問題なくゲームを楽しめている。
原則的には、モブの村人やクエストNPCなどは、危害を加えることができず殺害もできない。
本作ではプレイヤーが選択した行動に応じて、自身の「オーラ」が光か闇にかたよっていく。善人プレイをしていれば光、悪人プレイをしていれば闇にかたよるといった具合だ。窃盗やNPC殺害といった自由度の高い犯罪要素は存在しないものの、クエスト中の選択肢によるアウトロープレイは可能である。また、オーラの変化によってアンロックできるサイ能力が変化するなど、ただのロールプレイにとどまらない影響も生じる。
ゲーム開始直後から主人公の冒険に同行してくれるキャラクターとして、小さな昆虫型の機械「オートマトン」が存在する。最初はバッタのような見た目だが、サブクエストでアイテムを回収することで外見を変更することも可能だ。また、クエストを進めることでさまざまな補助機能が開放され、移動に役立ってくれたり、一緒に敵を攻撃したりしてくれるようになる。一方、『Fallout』シリーズのように、旅先で出会うNPCを連れていくことはできない。
探索しきれないほど広大というわけではなく、メインクエストやサブクエストをプレイしていけばいつのまにかすべてのマップが開示されていることだろう。ファストトラベル地点はほどよい間隔で並べられており、移動にストレスは感じない。広大なマップが用意されており、その中にオブジェクトが配置されているというより、まずオブジェクトが配置されておりそれに沿ってマップが作成されている印象だ。
一部の脆い壁は、特定のアイテムや専用のマウントを使うことで破壊できる。そのほかにも、バールでこじ開けることができる扉なども存在する。ただし村の家屋などは壊せないため、破壊方面の自由度はそれほど高くない。
フォトモードはいつでも起動することができ、簡単なアングル調整と被写界深度がオンオフできる。また、カラーフィルターなど色味を調整する機能はないが、ゲーム自体の色味が全体的に鮮やかなため、簡単な調整でも綺麗なスクリーンショットに仕上がってくれる。本記事に使用しているスクリーンショットも、UIが入り込んでいないものはフォトモードを利用して撮影したものである。
以上が、『バイオミュータント』を一通り遊んで上で作成したQ&Aである。ぜひ購入の参考にしていただければ幸いだ。ケモノアクションRPG『バイオミュータント』は、5月25日(PC版は5月26日)にPC(Steam/Epic Gamesストア/GOG.com/Humble)/PS4/Xbox One向けに発売予定だ。同作が気になる方は、公式サイトやTHQ Nordic JapanのTwitterアカウントもチェックしておこう。
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