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1年間の土日祝をすべて足すと、約120日。しかし休日こそが稼ぎ時である飲食店は、カレンダー通りの休みが取れず、社員が120日休めている企業は少ない現状がある。そんな業界の現状に風穴を開けたのが、株式会社スープストックトーキョーである。
■飲食業界で年120日休日を目指す
飲食業界で年120日休日を目指す
全国に約60店舗を展開するスープ専門店を運営する株式会社スープストックトーキョー。社員数は255名。平均年齢は約30歳で、社員の約7割は女性である。取締役副社長江澤身和さんは、社員全員に年120日の休暇、すなわち月あたり10日の休暇を確保する“奇跡の休み方改革”を起こした立役者だ。「飲食店は休みづらい、休みが少ないというイメージが固定観念としてあります。それがきっかけで離職する社員がいたり、なり手が見つからない現状がありました。たしかに、カレンダー通りの休みは取れません。しかし、カレンダーと同じだけの日数のお休みを取得できる、つまり120日休めることを示し、業界イメージの刷新ができればと思ったんです」働き方改革に詳しい株式会社リクルートHR統括編集長の藤井薫さんは、この目標の難しさについて次のように解説する。「飲食店で年間120日の休みが取れるのは、本当にまれです。急な来客や、スタッフの欠勤などによって、店長しかできないイレギュラーな対応が迫られるからです。120日間休めるのは、店長さんにとって、とても夢のある環境だと思いますね」
■店長ヘルプ専門チームを結成
店長ヘルプ専門チームを結成
この目標を掲げたところ、社員からはさまざまな声が上がった。中でも多かったのは、「そもそも今ですら休めてない」という声だったという。「120日の休みが取れていない今でさえ、事前に設定した休みも出勤しているのに、これ以上休みを増やせるわけがない。それが社員の声でした。その意見に対して、それぞれのお店が採用活動を進めて対応してもらうのは本質的な解決ではありません。どうしたらいいか考えた結果、店長が安心して休める状況をつくるべきだと考えました」そこで導入したのが、「拡充隊」。店長経験者を集めて、固定の店舗に配属せず、休みのヘルプを専門にするチームを作ったのだ。店長経験者が来るのだから、安心して休めるだろう。そう考えたが、次はこのような意見が出た。「人件費」の問題だ。経営層から難色が示されたと江澤さんは話す。「休みは増えるけど、給与は変わらず、人件費だけが増えるから、厳しいのではという声が出たのです。しかし、経営陣もなんとか休みを増やす必要があるのは理解していました。そこで、お掃除ロボットや食洗機など、人がしなくてもいい作業を機械化することで、業務効率向上を進めたのです」
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