皆さん、『ちびロボ!』憶えていますか?
『ちびロボ!』とは、任天堂が2005年6月23日に発売したアクションアドベンチャーゲームシリーズ。プレイヤーは身長10cmのお手伝いロボット「ちびロボ」を操作し、家の掃除をしたり、探し物をしたり、とある理由でしゃべりだすおもちゃ達と交流したりしつつ、ストーリーを進めていきます。
家が再現された半オープンワールドの世界を小さいロボットとして冒険するという設定自体楽しいものでしたが、特筆すべきはやはりストーリー。可愛らしいキャラクターデザインで愉快なストーリーながらも、根底には家庭問題や「物」として消費されるおもちゃやロボットと、とてもシリアス。
当時小学生だった私は、子供ながらに考え込んでしまったのを憶えています。小学生にとってゲームのストーリーを深く考える経験は衝撃的でした。それだけ魅力的な作品だったのです。
そんな名作『ちびロボ!』ですが、開発を担当していたスキップは詳細不明ながらも事実上閉鎖状態とみられ、2015年10月8日に発売された『なげなわアクション!ぐるぐる!ちびロボ!』以降グッズや続編も無いことから任天堂のIPとしてはかなり影が薄くなりつつあります。
リメイクでも良い、リマスターでも良い、ゲームじゃなくてもいい。なんでもいいから「任天堂さん!ちびロボ出して!」ということで、公式からの供給不足に飢えた筆者が3D CADや3Dプリンターを駆使し、等身大「ちびロボ」のジオラマを作った記録をお送りいたします。
模型制作やフィギュアの造形には様々な方法があります。粘土をこねたり、プラ板から切り出したり、ただ、最近主流となっているのはデジタル空間上で造形し、それを3Dプリンターで出力する方式です。
デジタル空間上での造形には様々なソフトが使われるのですが、今回は筆者が慣れているFusion 360と呼ばれる3D CADソフトを使用して造形していきます。ちなみに無料!(個人利用に限る)
「デジタル」と言うと手間がかからず簡単という印象がありますが、実際は思ったより愚直。設定画を基に、少しずつサイズ感や印象を完成に近づけていきます。Fusion360でモデリングすると輪郭線がクッキリでて実際より太く見えがちなので、気持ち太めに作っておくのがコツです。
また、モデルを造形する際はポーズを変更しやすいようにパーツ分けするといった工夫も必要です。ただ、ちびロボは単純な形なので比較的簡単に造形できます。初心者にオススメですよ!
デジタル空間での造形ができたので、現実世界で実際に作っていきましょう。
使うのは3Dプリンター。デジタルなデータを出力する、という役割は紙のプリンターと同様ですが、方式は大きく異なります。3Dプリンターは紫外線で固まる樹脂を細かな層状にすることで立体を作るのです。今回は0.02ミリメートルの層を重ねていきます。
3Dプリンターを使う際は出力用のデータを作る必要があります。と言っても難しいことは無く、ソフトが警告してくれた箇所を参考に支柱を付けていくだけです。3Dプリンターはその性質状、こうした支柱が欠かせません。上手く支柱を付けれないと、造形不良を起こしてしまうことも……
データを3Dプリンター用に変換して、プリンターを起動!今回は12時間ほどの稼働で出力しました。ちなみに層の数は0.02ミリメートルの層を5000個ほど。
ちなみに、出力しただけだとこんな感じ。これから支柱を切り取り、整形していく作業が待ってます。
3Dプリンターでちびロボを出力し、整形できたら塗っていきましょう。
ただし、一見綺麗に見える出力品も、「層を積み重ねて立体にする」という3Dプリンターの性質上、表面が層状に凸凹しています。そこで、サーフェイサーをエアブラシという塗装用の道具で吹いて、鑢で平坦にします。
ここまでやってやっと塗れます。今回は「白っぽい銀色」に塗るため、白の下地から銀色を塗っていきます(普通、銀色は黒下地で塗ります。)綺麗に塗れたら、チャームポイントの目を塗装。あわせて、ヒップラグも塗っていきましょう。
ちびロボをのせるための台座を作っていきますが、せっかくなので家をイメージした台座にしていきます。
使うのは100均で売っていた木の箱。
これを分解します!
次いでホームセンターに売っていたコンセント基部。ちょっとお高め、800円位。これも分解して『ちびロボ!』に登場したコンセントに近い形にします。
家の内装に欠かせないフローリングや壁紙の素材を用意。本来は補修に使うものを流用します。
ハイ! ちびロボの頼もしい命綱コンセントに、ペットの足跡。健気に掃除するちびロボの情景が完成しました。もちろん実寸サイズ。身近な物でここまで出来てしまうのです!
ちなみに、ちびロボは単体で自立するようにしているので、どこにでも置けます。一家に一台ちびロボ、皆さんもいかがですか?
ということで、ちびロボ制作記でした。ゲームの発売当時はお掃除ロボなんて夢のまた夢でしたが、あっという間に技術は進み、掃き掃除から拭き掃除までロボットがやってくれるようになりました。
『海底二万里』などで知られるフランスの有名なSF小説家「ジュール・ヴェルヌ」によれば、「人間が想像できることは、人間が必ず実現できる」そうです。つまり、『ちびロボ!』の続編が出ると想像すれば、『ちびロボ!』が出る……(任天堂さん、お願いします!)
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