アイロボットジャパンは、ロボット掃除機のルンバで初めて間取り学習機能とクリーンベース(自動ゴミ収集機)を備えた最上位モデル「ルンバi7+」(アイロボットストア価格12万9880円・税抜)を3月8日に発売すると発表しました。「ルンバ980」の後継機に当たりますが、こちらは単なるアップデートモデルではありません。
ルンバで開発者の一人であり、同社CEOのコリン・アングル氏が「約20年前にロボット掃除機の開発を始めたときから、ずっと目指してきた夢を実現した」と語る、「ルンバの完成形」ともいえるモデルなのです。
↑新しいルンバ「ルンバi7+」は、ダスト容器のゴミを自動で吸引してくれるクリーンベース付き!その夢とは、「ルンバに人が触れることなく、部屋をきれいにしてくれること」。これから本格化するスマートホーム時代に、ルンバi7は掃除や暮らしをどのように変えてくれるのでしょうか。
↑アイロボット・コーポレイションCEOのコリン・アングル氏が目指すのは、掃除していることを忘れさせるロボット掃除機。部屋に入っただけでテレビがつくような、スマートホームにふさわしい存在を目指していますコリン・アングル氏によると、ルンバがスマートに働くために重要なのは「ルンバが自分の居場所を把握すること」。そこで「ルンバi7」は、新たに高速応答プロセスiAdapt3.0ビジュアルローカリゼーションを搭載。この「iAdapt3.0」がどれだけすごいのかというと、ルンバ980に搭載した「iAdapt2.0」の情報処理速度が、毎秒2億9300万回であるのに対し、「iAdapt3.0」の処理速度は98億8000万回。比べ物にならないほどアップしているのがわかります。
↑「ルンバ980」の約30倍処理速度が速くなり、正確に自分の居場所が把握できるようになった「ルンバi7」シリーズこれによって可能となったのが「Imprintスマートマッピング」です。こちらは、本機が清掃中に間取りを学習し、その地図を記憶。各部屋の向き、家具の配置などに基づき最良の清掃方法を決定する機能です。これにより、ルンバi7はカメラとフロアトラッキングセンサーなどで自身の居場所を常に把握しながら、家中の間取りを記憶して学習し、最適なパターンで掃除できるようになりました。なお、ルンバ980は掃除が終わるたびに部屋の記憶を消していたため、毎回新たな間取り図を描きながら掃除していましたが、ルンバi7は記憶するため、効率的に掃除できるのです。
↑同じ間取りでも、記憶しないルンバ980は、部屋をまたいで掃除していくため、また元の部屋に戻る必要がありました。その点、ルンバi7は部屋ごとに掃除を済ませていきますさらに、間取りを記憶するだけでなく、チェアの位置がずれていたり、モノが置いてあったり、前回の掃除のときと状況が変わっても自動で補正するのがスゴイところ。さらに1階、2階を区別できるほか、最大10フロアの間取りを記憶でき、各部屋に「キッチン」「リビング」など名前をつければ、どの部屋をいつ掃除するか、自由に決められるのです。
↑子ども部屋だけ掃除を行うよう操作をすると、右端にある充電台から最短距離で子ども部屋に向かい、掃除が終わると、再び最短距離で充電台に戻っていきましたルンバi7の操作や設定、スケジュール管理は、専用アプリをダウンロードしたスマートフォンから行えます。部屋の区分は、ルンバi7を走らせて出来上がった輪郭に、境界線を加えて名前をつけることで、簡単に設定できます。なおスマートスピーカーと接続すれば、音声で操作することも可能。
↑境界線を追加した後、上を「リビング」、下を「キッチン」と命名コリン・アングル氏の「ルンバに人が触れることなく、部屋をキレイに掃除する」を実現するもう1つの目玉機能が、「ルンバi7+」の充電台(クリーンベース)に搭載した自動ゴミ収集機能です。ルンバは掃除が完了すると自動でクリーンベースに戻るのですが、その際、クリーンベースがルンバ本体のダスト容器のゴミを吸引し、内部の紙パックに自動で排出。従来のような掃除が終わるたびにゴミを捨てる手間は不要となります。
↑充電台に戻るたび、ダスト容器のゴミを吸引する「クリーンベース」【動画】本体のゴミを吸い取るクリーンベース
クリーンベースに帰還後、自動でゴミを吸引します。音はそこそこ大きいですが、10秒程度と短時間。
紙パックには30杯分のゴミが収集できるので、数週間以上掃除を気にする必要はありません。いっぱいになった紙パックを引き抜くとシャッターが自動で閉まるので、ホコリの舞い散りを抑えられるのも特徴。紙パックの中は見えませんが、ゴミがいっぱいになるとランプで知らせてくれるので、替え時が分かりやすくて安心です。
↑毎回ダスト容器のゴミを捨てなくていいだけでなく、紙パック式なのでホコリに晒されることなく捨てられるのはうれしいところクリーンベースを省略したモデル「ルンバi7」も発売されます。こちらは2月22日発売で、アイロボットストアの価格は9万9880円。ルンバi7+に比べて3万円安くなっているので、価格を抑えつつ「Imprintスマートマッピング」などの先進機能を堪能したい場合には、こちらがオススメです。
↑ルンバi7なお、吸引システムはルンバi7+、ルンバi7とも、「AeroForce3段階クリーニングシステム」を搭載。2本のデュアルアクションブラシの1本目がゴミを浮き上がらせてかき出し、2本目がブラシを逆回転させることでゴミを浮かせてパワフルに吸引します。その吸引力は、「ルンバ600」シリーズの10倍、同じブラシを採用した「ルンバe5」の2倍とパワフル! さらに、ダストカットフィルターが、ホコリや花粉、ダニなどのアレルゲンを99%捕らえます。なお、ダスト容器は、「ルンバe5」から踏襲する仕様で、丸ごと水洗いが可能となっています。
↑ダスト容器が水洗いできるようになったのは、昨年10月発売の「ルンバe5」から。手が届きにくい場所のホコリもきれいに洗い流せますアイロボットジャパンの代表執行役員社長、挽野 元氏によると、アイロボットはグローバルにおいては2018年、史上初となる年間売上10億ドルを記録したほか、売上金額前年比24%増を達成。ロボットの累計販売台数は、2500万台を突破したといいます。
もちろん、日本においても好調で、アイロボットジャパンの2018年の年間売り上げは過去最高を達成。売上金額は前年比25%増、ロボットの累計出荷台数は300万台を突破。特に、ロボット掃除機を「1家に1台」と宣言し、10月に高コスパの戦略モデル「ルンバe5」(税抜4万9980円)を発売して以来、ルンバの世帯普及率が4.5%から4.9%に急増するなど、驚くべき数字を記録しています。
↑昨年10月に発売されたルンバe5。旧800シリーズの高性能を継承しながら、税抜で5万円を切る価格を実現し、話題を呼びました「人がやるより、安全・安心・心地よいのがこれからの家電」と話す挽野氏。洗濯や食器洗いなどは、人が手で行うよりも、洗濯機や食器洗浄乾燥機に任せたほうがメリットが大きいように、床掃除もロボット掃除機でやったほうが“時短”“時産”になるだけでなく心地よさも得られることを広めていくと語りました。今後の目標としては、2023年に世帯普及率10%を目指すとのこと。
その一環として価格も大幅に見直し。今回新登場のクリーンベース付き「ルンバi7+」は、従来の最上位モデル「ルンバ980」(12万5000円)より大幅に高性能化しながら、価格は12万9880円とほぼ同等に。クリーンベースなしの「ルンバi7」は9万9880円と、従来のルンバ980に比べて3万円も安くなります。なお「ルンバi7」の登場をもって、「ルンバ980」は生産終了。
そのほか「ルンバ960」は従来価格8万9880円のところ6万9880円に値下げし、「ルンバ643」は従来価格3万9880円のところ2万9880円と、さらに手ごろな価格で購入できます。
↑高機能化しながら、現行モデルより価格が安く、ついには2万円台も登場!筆者は、この「ルンバi7+」の登場により、これまでのルンバの使いづらさが一気に払拭されたと感じました。例えば、従来モデルでは、同じ家の中でも入られたくない部屋があった場合、扉を閉めるか、付属のヴァーチャルウォールで見えない壁を作るしかありませんでしたが、これならスマホの操作だけで部屋ごとに掃除するかしないかを選べます。掃除方法も、1部屋ずつ隅から順に掃除してくれるので、実にムダがない!
ゴミ捨てもクリーンベースの紙パックがいっぱいになるまで放っておけるので、極論をいえばユーザーがやるのは最初のスマートフォンの設定のみ。あとはルンバが自分で考えて行動してくれるのです。2019年10月には消費税の増税もあることですし、ロボット掃除機が上手に使いこなせるか不安な人は、廉価モデルで試すより思い切って「ルンバi7」シリーズを選んだほうがトクかもしれません。
アイロボット
ルンバi7シリーズ
●ロボット本体サイズ/質量:最大幅35.1×高さ9.2㎝/約4.0kg●クリーンベース(ルンバi7+のみ搭載)サイズ:奥行き39× 幅31× 高さ49cm●電源方式:充電リチウムイオン電池(充電時間:約3時間)●稼動時間:最大75分