急激な温度変化によって発生する「ヒートショック」では重大事故につながるケースも(写真はイメージ)【写真:写真AC】
冷え込みが徐々に厳しくなり、温かいお風呂が恋しい季節。ゆっくり湯船に浸かって疲れを癒やし、リラックスする時間を求めたくなりますよね。ですが、近年は急激な温度変化によって発生する「ヒートショック」が重大事故につながるケースも増え、注意すべき問題にもなっています。大手給湯機器メーカーが行った入浴習慣に関するアンケートとチェックテストによると、ヒートショック“予備軍”の傾向が明らかに。結果を見てみましょう。【画像】いくつ当てはまる? 「ヒートショック予備軍チェックテスト」を早速チェック! コロナ禍における5つの落とし穴も解説 ◇ ◇ ◇
「ヒートショック」とは急激な温度の変化によって血圧が上下し、心臓や血管の疾患を招く現象。家庭では暖かなリビングから冷え切った浴室などへ移動した際に起こることが多いそうです。 厚生労働省の人口動態調査によると、高齢者の「不慮の溺死及び溺水」による死亡者数は増加の一途。2011年以降は「交通事故」による死亡者を上回っており、発生場所は家と居住施設の浴槽が多いそうです。正式な統計はありませんが、ヒートショックによるものが多く含まれているとみられています。 今では多くの医療機関や地方自治体がヒートショックを注意喚起しています。そんな中、給湯機器や厨房機器を製造・販売するリンナイ株式会社(本社・愛知県名古屋市)は10月30~31日、入浴習慣についてインターネット上でアンケートを実施。対象は全国47都道府県の20~60代の就業者男女計2350人(各都道府県50人)です。 その中で「自宅で冷えを感じる場所はどこですか」という質問(複数回答可)では「脱衣所/洗面室」が56.8%でトップ。次いで「浴室」が53.4%、「トイレ」が48.8%と続きました。いずれも冬場にヒートショックが起こりやすい場所のため、注意が必要です。
それでも「自分は若いから大丈夫」「そんな環境ではない」といった理由で甘く見ている方が多いのでは? そこで同社は温泉療法専門医で東京都市大学人間科学部学部長を務める早坂信哉氏の監修で、今回のアンケート対象者に「ヒートショック予備軍チェックテスト」を実施しました。その項目を紹介しましょう。1. 20分以上湯船に浸かり長風呂を楽しむことがある2. 寒さを我慢して換気することがある3. 自宅の脱衣所や浴室に暖房設備がない4. 一番風呂に入ることが多い5. 41度以上の熱い風呂が大好き6. 宅飲み時など飲酒後すぐに入浴することがある7. 入浴前にかけ湯をしない8. 入浴前に水分をとらない9. 冷たい水でよく手を洗う10. 裸足で廊下や室内を歩いている11. 浴槽の湯が冷めないようにフタをしている12. ステイホームやリモートワークで外出しなくなった 以上のうち5つ以上の項目に当てはまる人はヒートショック予備軍だそう。項目が多いほどヒートショックを引き起こす可能性が高いとされています。 チェック項目が最も多かったのは11の「浴槽の湯が冷めないようにフタをしている」(62.7%)。次いで3の「自宅の脱衣所や浴室に暖房設備がない」(61.0%)、8の「冷たい水でよく手を洗う」(54.0%)が続きました。冷たい水で手を洗う方は意外と多いように思いますが、これも予備軍に当てはまるとなれば注意が必要ですね。 5問以上にチェックが付いたのは約6割という結果でした。該当者の内訳を見ると1位が大分県(70%)、2位が宮崎県(68%)、3位が千葉県(66%)。これを「意外な結果」とした早坂氏は「ヒートショック予備軍が多いのは、大分、宮崎、千葉といずれも暖かい地域でした。しかし、九州であっても冬は脱衣所も冷えてヒートショックの危険があります。油断せず、入浴時は気を付けましょう」と呼び掛けています。
Hint-Pot編集部