長期の連泊向けに改装されたホテルニューオータニのスイートルーム。冷蔵庫やドラム洗濯機などが備え付けられている
大型の冷蔵庫やドラム式洗濯機など…生活に欠かせない家電が設置されている部屋、実はホテルの客室です。外国人観光客に代わる新たな顧客の獲得を狙って、ホテル各社が長期滞在型プランを相次いで打ち出していますが、いま、そのサービスがより連泊しやすい形に進化しています。泊まるホテルから暮らすホテルへ。ホテルニューオータニは2月24日、既存の客室を長期の連泊向けに改装する新たな事業を発表しました。「新江戸レジデンス」(スイート)は広さ77平方メートルのスイートルームで、30連泊から利用できます。部屋にはオーブンレンジやIHコンロを備えたキッチンに、大容量の冷蔵庫も揃えています。さらに、洗面室にはドラム式洗濯機を設置し、浴室はヒノキ風呂。暮らすための部屋作りを徹底しています。「新江戸レジデンス」の価格は30泊でおよそ280万円。他にも、6泊15万円から泊まれる客室など、ニーズに合わせた展開を予定しています。もともとホテルニューオータニではコロナの感染拡大後、既存の客室に長期滞在するプランなどを始めていました。するとホテル側の予想以上に、旅行に行けない都内に住む客などの利用も多く、去年、連泊での予約数はコロナ前のおよそ5倍に。そのため、今回の改装を決めたのです。「いろいろな働き方、ライフスタイルの変化の中で、長期のホテル滞在が顕在化したのではないか。従来の宿泊・レストラン・宴会といった事業だけでなく、さらに進化させたものを提供していきたい」(ニュー・オータニの高山剛和執行役員)去年3月から長期滞在型のプランを提供している帝国ホテルは2月にさらに事業を拡大。長期滞在プランの対象は、本館に併設するタワー館内の客室165部屋でしたが、タワーの349部屋すべてで長期滞在できるようにしました。「朝からずっと電話が鳴りやまず、その日のうちに全て予約で埋まるという大変好評な状況だった。長期滞在により、安定的に収益を確保できるので、サービスアパートメントの部屋をさらに増やすという決断に至った」(帝国ホテルサービスアパートメント課の宮崎真理課長)長期滞在用の客室の稼働率は、事業開始以来、およそ8~9割と高い水準で推移しています。中には、想定外の利用客も。「ビジネス需要が中心になると考えていたが、コロナで海外旅行に行けないので、代わりにゆっくりしに来たという客も多い」(宮崎課長)横浜市に住む歯科医師の小池匠さんは毎月の海外旅行が趣味でしたが、コロナで海外へ行けない代わりに、去年4月と12月の2ヵ月間、帝国ホテルの長期滞在プランを利用したといいます。「掃除はしなくてもいいし、室内温度も常に一定に保たれている。プールも使えて、ジムも使える。食事は1ヵ月6万円のオプションで、量は好きなだけ頼める」(小池さん)また、暮らすように、都心部のホテルを使うことで、こんな楽しみも。「銀座7丁目に夜鳴きそばが来る。夜中2時にならないと来ないので、泊まらないとなかなか行けない」(小池さん)需要が高まるホテルでの長期滞在。今後、事業の柱になるのでしょうか?「今回、国内にもそうした市場があることが改めて分かったので、今後非常に拡大していくのではないか」(宮崎課長)※ワールドビジネスサテライト
最終更新:テレ東BIZ