取材者は鳥の巣と呼ばれるメインスタジアムなどの会場と宿舎の往復しか許されなかった
【厳戒の祭典in北京】冬季北京五輪は20日に閉会式が行われ、17日間の大会が幕を閉じました。昨年の東京大会に続き一般市民との接触を遮断する「バブル」内で開催された通常とは大きく異なる形式の運営で、内側にいた報道陣からは「確かにここは北京だけど、北京ではなくどこか別の国のよう」という感想を耳にすることがありました。確かに大会期間中、いわゆる北京の名所を訪れたり街の声を聴く機会はありません。都心部では街中で大会関係者を見掛ける機会も少なくなかった東京大会と比べ、〝本物のバブル〟の中で過ごしたという印象が強く残っています。開会式前は1日にバブル内で33人の新型コロナウイルス陽性が確認された日はある一方、直近の陽性者数は1人だったり、連続してゼロが続く日もあり、閉会式でIOCのトーマス・バッハ会長が「素晴らしく安全な形」とも表現しました。その通りかもしれないと思う半面、見通しがつかないコロナ禍での大会はやはり最後まで不安がつきまといました。もう1つの北京五輪の特徴として各会場に設置されたロボットの存在があります。掃除から体温チェック、調理に配膳まで用途は多岐にわたりましたが、例えば食堂に設置されたロボットについて言えば注文から提供まで20分以上かかったり、味も人が調理したものには及ばず、目新しさが先行していた印象があります。実際にカクテルを作るアームロボットを見たときは精緻な動きに驚愕(きょうがく)しましたが、まだ開発途上であることは否めません。さまざまな可能性を提示しつつも課題も残した北京五輪。次回訪れる際は、バブルの外にある本来の北京を見たいと思います。 (五輪取材班・内藤怜央) =おわり