お宅では、年末に大掃除をするだろうか?
実はこの時期に、年末の大掃除に関する調査結果が公表されることが多い。花王が実施した「『2018年の年末大掃除』に関する調査」では、2018年の年末大掃除の実施率は58%だった。また、ダスキンが実施した「第15回 ダスキン 大掃除に関する意識・実態調査」では、2018年の年末大掃除の実施率は55.9%で、過去3番目に低い実施率だったという。
一方、アイロボットジャパンが「年末に家族で大掃除をしますか?」と聞いたところ、「家族で大掃除をする」が50.3%と半数に達し、「家族では行わないが自身で行う」の28.7%と合わせると、79.0%が年末に大掃除をすると回答している。
Q:年末に家族で大掃除をしますか(出典/アイロボットジャパン「年末の大掃除に関する意識調査」)
さきほどの花王の調査で、「2019年の年末に大掃除をする予定があるか」を聞いたところ、77%が実施予定だと回答していることから考えると、質問の仕方が「昨年に実施したか?」と「年末に大掃除をするか?」とでは、回答が多少異なるのだろう。
ただ、家族で年末に大掃除をする恒例行事的な習慣は、薄れつつあると言えそうだ
では、年末に大掃除をしない理由は、どういうものだろう?アイロボットジャパンの調査結果によると、48.8%が「年末は忙しいので別の時期に掃除をする」と、42.9%が「日常定期的に掃除をしているので大掃除はしない」と回答し、理由は大きく2つに分かれた。「大掃除は業者に頼むので自分ではやらない」は4.8%だった。
2大理由ともいえる、「日常掃除で済ます」と「年末以外に行う」については、年代によって傾向が異なる。20代・30代では「日常掃除で済ます」派が多く、40代・50代では「年末以外に行う」派が多い。
Q:年末に大掃除をしない理由(出典/アイロボットジャパン「年末の大掃除に関する意識調査」)
実は、最近は「秋掃除」や「春掃除」が効果的だと言われている。理由はいくつかある。・油汚れなどが緩んで落としやすい・水が冷たくない、お湯の温度を維持しやすい・寒くないので窓を開けたままにできる・洗ったものが乾きやすいそう考えると「年末以外に行う」派は合理的といえるだろう。
普段おろそかにしている玄関まわりや窓まわり、カビ取りなど、日常の掃除だけでは手が回らないことも多い。日常の掃除に加えて、気になったときに小まめに“小掃除”するのが効果的だ。まとめてやるとなると億劫になるので、小掃除を習慣化することで効率アップを図る人も多いだろう。
「年末に大掃除をしない」背景には、それぞれの年代で、自分たちのライフスタイルに応じた合理的な掃除の仕方を工夫しているから、という見方もできる。
さて、SUUMOジャーナル編集部と調査結果を見ていて注目したのは、「床拭きの頻度」だ。この調査でいう床拭きが、水拭きを指すのか、から拭きだけでも床拭きというかは分からないが、床拭きの頻度はかなり二極化していた。
「日常の床拭きの頻度」を聞いたところ、最多は「週1回以上」の33.6%で小まめに床拭きをしている様子がうかがえる。次いで多かったのは、「月に1回程度」の29.1%だった。一方で、「大掃除の時や年に1回程度」が15.3%、「まったくしない」が15.5%と床拭き消極派が約3割もいることが分かった。
Q:日常の床拭き掃除の頻度(出典/アイロボットジャパン「年末の大掃除に関する意識調査」)
また、「自宅内で最も拭き掃除が必要と思われる箇所」を聞くと、1位が「リビング・ダイニング」(38.3%)、2位が「キッチン」(35.9%)だった。
敬遠されることもある床拭きだが、目には見えないホコリや汚れが床には残っているもの。消極派の方には、見直してほしい。掃除機をかけた後に水拭きでしっかり汚れを取り、水分を残さないように乾かすことがポイントだ。
ところで、江戸時代には、大掃除ともいえる“煤払い(すすはらい)”をした後、胴上げをしたということをご存じだろうか?
筆者の「連載:江戸の知恵に学ぶ街と暮らし」に執筆したが、江戸時代には電気はないので火を使うために室内に煤がたまり、その煤を払い落とす習慣があった。大掃除というだけでなく、正月を迎えるお清めの儀式でもあったので、大きな商店では煤払いの後に、食事や酒がふるまわれ、時には胴上げをするなどのお祭り騒ぎになった。『東都歳事記』にもそうした絵が描かれている。
年末に大掃除をしないとしても、新年を気持ちよく迎えるために、正月の準備はきちんとしたいものだ。
●取材協力花王ダスキン