洗濯をしようと洗濯機のフタを開けた瞬間になんとなくイヤな臭いがした……。そんな経験はありませんか? 洗濯槽からのイヤな臭いは4種類に分類できます。臭いの種類別に原因と解決法、普段からできる臭い予防の方法をお教えします。
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洗濯機からのぞうきんのような生臭いにおいは、洗濯槽で繁殖している雑菌が原因です。臭いの正体は、マイコバクテリウムという細菌が作り出す、硫黄化合物という物質。
この細菌は【湿気・温度・栄養】の3つの要素がそろうとすごいスピードで繁殖していきます。洗う前の洗濯物に含まれる水分や汗、皮脂などの汚れが栄養分となり、風通しの悪い密閉空間が湿度を上げることで、菌が繁殖する環境が作り出されてしまいます。
特に、バスタオルなどぬれた洗濯物を長時間洗濯機の中に放置することは、細菌が発生する大きな原因です。きれいに洗ってもぬれるとすぐ臭くなってしまうタオルがある場合は要注意。
人の汗や皮脂に含まれる水分とタンパク質を栄養分にして増殖するモラクセラ菌という細菌は、一度発生すると洗濯物を外干ししても除去することはできません。洗濯槽が臭うときは、洗濯物に発生している細菌を除去することも必要です。
洗っても臭うタオルの除菌には、煮洗いが一番効果的です。
煮物用の大きめの深鍋(ホーローかステンレス)にお湯を沸かしてタオルを入れてグツグツ煮るだけ。鍋から取り出すときは、トングでタオルの端をつかみ、トングに巻きつけるようにすると簡単です。
黄ばみ除去など用途に合わせて、重曹や粉石けんの使用もおすすめ。洗剤を使用しない場合は、汚れたタオルを煮洗いしたあと、通常通り洗濯機で洗濯します。
洗剤を使用する場合は、煮洗いのあと洗濯機ですすぎ脱水をします。煮洗いすると細菌が死滅するため、部屋干ししても臭わなくなりますよ!
<※注意※>
洗剤を使って洗濯しているからきれいだと思いがちな洗濯槽。実は洗濯槽の穴やフチ、洗剤の投入口などは汚れがたまりやすく、洗濯槽の裏側にはカビと汚れがびっしり付いているなんてことも。
水分が蒸発しにくい洗濯槽の裏はカビが発生しやすく、洗濯のたびに溶け残った洗剤や衣類の汚れがたまってカビの温床に。特に、ドラム式洗濯機は使用する水量が少ないため、洗剤や汚れが洗濯槽内に残りやすく菌の栄養分となってしまいます。
また、お風呂の残り湯を使った洗濯も細菌増殖の原因となります。お風呂の残り湯は雑菌が多く、繁殖した菌が洗濯槽に残ってさらに増殖するなんてことも……。残り湯を使う場合は、除菌ができる洗濯洗剤を使用し、すすぎには水道水の使用をおすすめします。きちんと菌や汚れを洗い流せるよう、すすぎは2回行うと良いでしょう。
目に見えないカビの胞子は空気中に多く存在しており、温度や湿気、汚れの条件がそろうとあっという間に増殖していきます。洗った洗濯物や洗濯槽内に、濃い茶色または黒いワカメのような細かいカスが付いている場合は、黒カビが発生している証拠! 市販されている酸素系漂白剤で、定期的に洗濯槽を掃除しましょう。
洗濯槽クリーナーを使用した掃除方法は、別記事:「洗濯機の掃除方法を教えて!」でご紹介しています。適切な掃除の頻度は汚れ具合によって異なりますが、湿度の高い夏の時期や梅雨は月に1回、冬やカビの発生が少なくなってきたら2〜3カ月に1回を目安に掃除すると良いでしょう。
香りの強い洗剤や柔軟剤を使用している場合に起こりやすいのが、この洗剤のようでどこか不快な臭い。すすぎで流しきれなかった異なる種類の香りが、生臭さの原因である細菌やカビ菌の発する臭いと混ざるのが原因です。
この臭いを感じたら、先に書いたような洗濯槽の洗浄も大切ですが、洗剤や柔軟剤の使用量を少なくしてみるのもの対策の1つ。洗剤を多く入れるとより汚れが落ちるような気がしますが、使用する水量に対して洗剤が溶ける量は決まっています。汚れを落としたいからといって規定以上の洗剤を入れると、溶けきらなかった洗剤が洗濯物や洗濯槽に残りやすくなります。
洗剤や柔軟剤の使用規定量は、洗浄力と香りの効果がきちんと発揮できるよう設定された量です。洗剤や柔軟剤の使用量説明をよく読み、普段の洗濯に本当に必要な量かを見直しましょう。
また、思い切って香りの残らない洗剤や柔軟剤に変えてみるのも良いでしょう。その場合、洗濯物の生乾きによる臭い対策が必要であれば、色物衣料にも使える酵素系漂白剤の併用をおすすめします。
【訂正:2017年9月13日11時】初出時、色物衣料にも使える「酵素系漂白剤」と記載していたところを、「酸素系漂白剤」に訂正しました。
洗濯槽から下水の臭いがする場合は、洗濯機のすぐ下に隠れている排水ホースがつながった排水口が原因です。排水口は下水の臭いを通さない仕組みになっていますが、何らかの原因で排水口内部の臭いが上がってくることがあります。
排水トラップとは、洗濯槽の水を排出するホースと排水口をつなぐ部分に使われている部品です。この部品の中には常時水がたまるようになっており、下水の臭いが上がってくるのを防いでいます。このトラップがそもそも付いていないと、臭いを止めることができません。
排水トラップはホームセンターなどで購入できますが、取り付けにはある程度の技術が必要です。事前に取り扱い説明書をよく読み、自分では難しそうだと感じたら、家のリフォームなどを請け負っている工務店や、洗濯機を取り付けてくれたお店で相談してみましょう。
排水トラップが付いていても、ドラム式の洗濯機の場合、乾燥機能を使うことでトラップの水が減少し下水の臭いが発生します。ただ、運転終了後にはトラップに水を溜める仕組みになっていますので、運転中や洗濯物を取り出した直後に電源を切らないようにしましょう。
普段はあまり目につかない場所にある排水口の奥では、洗濯機から排出されるホコリ、糸くず、髪の毛、洗剤のカスなどがヌルヌルの状態になっています。洗濯機を使用するたびにゴミやヌルヌル汚れが流れていくため、これらがたまって固まってしまうと排水の流れを悪くして、臭いを発生させる原因へとつながります。
排水トラップの掃除には、まず洗濯機を移動させて排水口のまわりにスペースを取ります。排水口が見えたら、一番上にある蓋を取り除いて排水トラップを露出させます。トラップにたまっているゴミや汚れを、歯ブラシなどを使って取り除きましょう。重曹を使って掃除すると、ぬめりの原因となる皮脂汚れのタンパク質を分解し、消臭もしてくれるのでおすすめです。
排水トラップが汚れている場合は、排水口内も汚れがたまっている可能性が高いです。市販のパイプクリーナーや、通販で購入できる業務用のクリーナーで、排水口内のぬめりやヘドロをきれいに落としましょう。
<※注意※>
排水トラップを排水口に戻したら、忘れないように水を溜めましょう。
(くらしのマーケットマガジン)