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「〝洗濯〟は未来への〝選択〟」。パナソニックと花王が異業種コラボ「#センタク」プロジェクトを進めるワケ

「毎日の洗濯に、楽しみと悦びを感じて欲しい」。

そんな想いから、パナソニックと花王アタックがタッグを組んでスタートした「♯センタク」プロジェクト。前回はそのテーマソングを書き下ろした人気ロックバンド[Alexandros]の川上洋平さんに話をうかがった。続く今回は、プロジェクトを推進するパナソニックと花王から、担当した堀田亜希子さん(パナソニック)と榊原淳太さん(花王)に、同プロジェクトに対する想いを聞いた。

きっかけは、3年前に2社の社員が集まって開催されたワークショップ

−−まずは、このプロジェクトが発足した背景から教えていただけますか?

花王・榊原淳太さん(以下、榊原)「2019年に開催したワークショップが始まりです。参加者は、両社の社員30〜40人ほど。3日間の合宿で、『未来の洗濯について考える』をテーマに、グループワークを繰り返しました。なかなかハードな内容でしたね(笑)」

パナソニック・堀田さん(以下、堀田)「これまで、商品開発をする上で2年後、3年後の洗濯について考えることはあっても、30年後、さらにはその先の未来にまで想いを馳せることはありませんでした。その合宿で初めて未来の洗濯について考える機会を得たことで、『洗濯とはどうあるべきか?』を改めて考えましたね。確かに、すごくハードでした」

−−大手2社同士のワークショップで、どのように議論が繰り広げられ、このプロジェクトへつながっていったのか、非常に興味があります。

榊原「今後は家事のオートメーション化が進んで、洗濯も近未来的な暮らしにアジャストしていくのでは? という話が出ました。その一方で、すごく洗濯が好きで、こだわっている人がいるのも事実。では、そういう人たちは何を求めるだろう? というところにも、議論が及びましたね。そこで、『やはり、それぞれのニーズに合うカスタマイズ性じゃないか?』などという意見が出たり……」

堀田「エコな視点からのディスカッションもありましたね。『洗濯機も水を使わない時代がくるのではないか?』とか、究極は、『汚れずに長く着られる衣類が登場して、洗濯が必要なくなるのでは!?』なんて話が出たのも覚えています」

榊原「〝なぜ人は洗濯をするのか?〟。企業間で、その本質的なところまで意見を交わす中、両者の洗濯に対するパーパスが近しいなという印象が得られました。以前から交流はありましたが、『この2社で、何かしたいよね?』という話になったのは、このワークショップがきっかけだったと思います」

堀田「そうですね。どうしたら洗濯をもっと前向きに、楽しんでもらえるようになるのか? そのために、何を伝えていくべきなのか? と考えた時に、2社でタッグを組むことの意義を強く感じました」

コロナ禍で浮き彫りになった洗濯への不満やストレス。洗濯を、もっと前向きな行為と捉えてもらうために……

−−コロナ禍でのライフスタイルの変化も、きっかけのひとつなのでしょうか?

榊原「プロジェクトの発足自体はそれ以前なのですが、程なくしてコロナ禍に突入して、清潔への意識が高まったことは大きかったですね。家族で共有していた手洗いタオルもひとりひとり分けるようになったり、在宅時間が増えて、これまで洗濯をしなかった人もするようになったりと、洗濯習慣もガラリと変わりました。調査上では、1日に1回以上洗濯する人がほとんどで、家事負担も、洗濯に対するちょっとしたストレスも増えているのが現実です。そんな今だからこそ、このプロジェクトを通して、洗濯をすることで〝前向きになって欲しい〟という我々の想いであったり、〝洗濯の楽しさ〟を伝えていきたいと思っています」

堀田「慣れない人は、柔軟剤を入れるタイミングが分からなかったり、在宅仕事をしながら洗濯機を回していて、ついつい忘れて放置してしまったりするんですよね。今は洗剤や柔軟剤の自動投入機能や、スマホと連携して遠隔操作ステータス通知が受け取れる機能など、家事の手間を軽減できたり、慣れない人でも簡単に操作できる機能もたくさんあるので、ぜひ活用して、家族で洗濯という家事をシェアしながら楽しんでいただきたいと思います。私自身、〝オタク〟レベルで洗濯が大好き。洗い上がった後の、心が洗われるようなすっきりした気持ちを、より多くの人に味わってもらいたい! プロジェクトを通して、洗濯することの喜びを伝えていきたいです」

「〝洗濯〟は未来への〝選択〟」。パナソニックと花王が異業種コラボ「#センタク」プロジェクトを進めるワケ

榊原「自分なりの楽しみや達成感を味わうと、捉え方が変わってきますよね。弊社の『アタックZEROでいえば、ワンハンドプッシュ。計量の煩わしさがなく、ノズルを引いてシュッと洗剤が出るのも、新感覚を体感してもらえるはずです。そんなちょっとしたことでも、モチベーションアップにつながるのではと思っています。僕は、洗濯は明日に向かっていく前向きなツールでもあると思っているんです。それを皆さんにも感じてもらうことが、このプロジェクトに込めた想いです」

プロジェクトメンバーとしてテーマソングを手がけた[Alexandros]の存在

−−今回のプロジェクトのテーマソングとなった『日々、織々』は、[Alexandros]による書きおろし。彼らとプロジェクトを進める中で、新たな気づきなどはあったのでしょうか?

堀田「バンドのフロントマンである川上さんが、まずこのプロジェクトの企画書を読んで、趣旨に興味を持ってくださったんです。テーマソングは、プロジェクトメンバーとして企画の意図を汲み取り、なおかつ、それをご自身で咀嚼して楽曲に落とし込んでくださる方に……と思っていたので、川上さんの前向きな姿勢は、こちらとしてもとてもうれしかった。メンバーの皆さんも、アレンジ作業をする中で実際に洗濯機を回してみたり、白いシャツを着てイメージを膨らませたりと、それぞれにこのプロジェクトに気持ちを寄せてくださったのだとか」

榊原「楽曲を聴いて、こちらのパーパスやコンセプトを相当汲み取って表現してくださっているのがすごく伝わってきましたね。川上さんの、〝洗濯とは、今日までの自分を洗い流して、明日新しく生まれ変わるための尊い行為〟という言葉も、まさに僕たちが伝えたいことと合致しています」

堀田「確かに、その言葉は響きました。ただ単に、汚れたから洗う、着たから洗うというルーティンの捉え方ではなくて、すごく前向きな思考だなと。川上さん自身、洗濯は好きな家事のひとつだそうで、洗うこと、まとうことをすごく大事にされているのが伝わってきますね」

洗濯をアップデートするきっかけに。「#センタク」プロジェクトが進むこの先

−−プロジェクト発足からこれまでの手ごたえはどうでしょうか?

堀田「このプロジェクトをきっかけに、我々の洗濯機を買ってくださったという声もいただいています。洗濯機を新しくしたことですごく便利になって、生活にもポジティブな変化があったと。『これからも応援しています』というメッセージも添えられていて、うれしかったですね」

榊原「今回のように、商品ではなくパーパスを訴求するプロジェクトは、最初の認知・拡散が課題に上がることが多いのですが、2社で組んだことで、期待以上に広げることができたと実感しています。最初のワークショップで深い議論ができたことが、今につながっているのだと思いますね。最初の設計からアウトプットまで、両者の想いがぶれなかったのが大きかったのでは、と」

−−最後に、今後の展開やチャレンジしていきたいことを教えてください。

堀田「洗濯機は、自動投入やIoTの進化で便利になっている反面、昔なら家庭で親から教わったような、そんな知識の伝承の機会が減ってしまっているようにも思います。お客さまからの疑問やお悩みも、すごく基本的なことが多かったりするんです。マニュアルムービーを通してお洗濯に関する疑問やお悩みを解決するだけでなく、洗濯の知恵まで伝えられるような、そんな貢献をしていけたらいいなと思います」

榊原「このプロジェクトは、一過性では終わらないと思っています。『#洗濯は未来への選択』というキーワードも掲げていますが、洗濯が新しい明日への選択につながること、清潔が前向きな次の一歩につながることを伝えていきたいですね」

【PROFILE】

パナソニック株式会社 くらし事業本部 くらしアプライアンス社堀田亜希子さんななめドラム洗濯乾燥機のマーケティングを担当。長年、海外向け洗濯機の商品開発を担当し、現在はななめドラム洗濯乾燥機の販売/販促戦略・商品企画などに携わる。自称〝洗濯オタク〟で、友人宅に行くと、どんな洗濯機を使っているかチェックしてしまうほど。洗濯機が回るのを眺める時間は至福。「私にとって洗濯とは、一番のリフレッシュ法です!」

花王株式会社 コンシューマープロダクツ事業部門 ファブリックケア事業部榊原淳太さんアタックのマーケティングを担当。2020年に新商品『アタック3X』の立ち上げを担当後、2021年より『アタックZERO』のマーケティングに従事。商品開発、販売戦略、広告戦略、生産管理などに携わる。「僕にとって洗濯とは、明日を前向きにする行為です!」

洗濯は未来への洗濯。パナソニック×花王「♯センタク」プロジェクト

コロナ禍で、家庭の洗濯事情も一変。除菌意識とより清潔性を求めるニーズが高まり、これまで家族で兼用していたタオルを各個人用に用意したり、2〜3日に一度の頻度で洗濯していた部屋着を毎日洗ったりと、洗濯回数も量も増加の傾向に。それに伴い、失敗や困りごとも増えていることから、パナソニック洗濯機と花王アタックがタッグを組んで立ち上げたのが「#センタク」プロジェクト。「日々追われる家事のひとつである洗濯に楽しみや悦びを感じてほしい」。そんな願いを込めて、2021年10月19日(1000せん・19とく)を[洗濯を楽しむ日]記念日に制定し、活動をスタート。楽曲からもプロジェクトの想いを伝えていこうとテーマソングの制作を担当したのが、プロジェクトメンバーでもあるロックバンドの[Alexandros]。作詞・作曲を手がけた川上洋平さんが出演する「♯センタク」のCMや、1019人のコロナ禍の洗濯に対する声を聞いた「♯1019人のセンタクのホンネ」調査、洗濯の様々な疑問を解決する「#センタクマニュアルムービー」などで、ニューノーマル時代の洗濯(#センタク)をお届けしていく。

https://panasonic.jp/wash/sentaku.html

洗濯に関するちょっとした疑問やお悩みを解消したり、お役立ち情報や新常識を発信する「#センタク」マニュアルムービーを公開。

【商品情報】

パナソニック 洗濯機『NA-LX129AL/R』は、エマールなどのおしゃれ着洗剤も自動投入できる「トリプル自動投入」、「ナノイーX」などを搭載したフラッグシップモデル。『NA-VG2600L/R』、『NA-FA120V5』も「温水スゴ落ち泡洗浄」や「自動槽洗浄」など、清潔ニーズに応えた人気機能が搭載されている。これら3商品は累計出荷台数111万台※を突破した、自動投入搭載の人気シリーズ。※1 2017年10月1日発売~ 2021年12月31日。当社「液体洗剤・柔軟剤 自動投入」搭載洗濯機の国内出荷台数(当社調べ)

花王『アタックZERO』目指したのは、「落ちにくい汚れ」、「生乾き臭」、「洗剤残り」ゼロへ!アタック液体史上最高の洗浄力で、汚れが落ちにくい化学繊維にも高い洗浄力を発揮。

取材・文/坂本祥子 撮影/深山徳幸