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IEEE 802.3bsで定義された「200GBASE-FR4」をベースに、到達距離を3kmへ引き上げた「200G-FR4-OCP」

到達距離を3kmまで引き上げる一方、波長の分散範囲を±6.5nmから±5.75nmに縮小

 前回からのOCPの規格の話を続けよう。次の「200G-FR4-OCP」の最新版は、2020年1月にRev 0.3が公開されている。

 そのベースとなるのは、『レーンあたり50/25Gbpsで400Gbpsを実現する「IEEE 802.3bs」の各規格』でも触れているが、「IEEE 802.3bs」で定義された「200GBASE-FR4」である。「ベースとして」というのは、当然違いというかカスタマイズがなされていて、その相違点が以下となる。

IEEE 802.3bsで定義された「200GBASE-FR4」をベースに、到達距離を3kmへ引き上げた「200G-FR4-OCP」

 前回も触れたように、例えばFacebookのデータセンターにおける配線のうち、79%は500m未満である。ただし、残りの21%のうち、2km以下なのが16%、3km以下なら20%をカバーできることになる。

 逆に言えば、到達距離2kmの200GBASE-FR4をそのまま使うと、5%ほど対応できない部分が残ってしまうことになる。ところが、これを3kmまで拡張できれば、対応できないのは1%まで減る。そんなわけで、3kmまで拡張することで対応しよう、という話だ。

 2つ目の温度範囲も前回と同じ話で、これにより利用する送受光素子や内部のチップの動作条件が緩められ、結果としてコストダウンが可能となる。これに関係するのが3番目の項目だ。温度範囲を狭めたことで、波長の分散も減ることになったとしており、その結果、波長の分散範囲がやや縮まった格好だ。

 最後の話も面白い。おそらくだが、前回紹介した「CWDM4-OCP-100G」の到達距離はあくまで500mしかないが、これを超えるケースが全体の2割ほどある。3kmには目をつぶるとしても、2kmの範囲はこちらの記事で紹介したCWDM4-100Gを利用して接続を行っていたようだ。

 これが、こちらで紹介した到達距離10kmの「100G 4WDM-10」はないあたり、さすがにFacebookのデータセンター用としても仕様として過剰だったということだろうか。

 そしておそらく、このCWDM4-100Gのモジュールを200G-FR4-OCPへ入れ替えるかたちで、アップグレードが順次行われていった結果、その移行期間にも100Gbpsでの通信が可能なように、CWDM4-100Gとの互換性が求められたのだろう。