暑い夏を乗り切るために欠かせないエアコン。今年は自宅で過ごす時間が増え、電気代が気になるという方も多いのではないでしょうか。エアコン節電の情報の中には、間違ったものや思い込み、古い情報がアップデートできてないものなどが混在しています。今回は勘違いしやすいエアコン節電の情報5つについて解説したいと思います。
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エアコンはつけっぱなしにした方が電気代が安くなる、なんて説を目にしたことがある方は多いのではないでしょうか。実際につけっぱなしにしたら安くなったというコメントをSNSなどで見かけることもあります。これは本当のことなのでしょうか。
よく耳にするのは、エアコンはつけた瞬間に大きな電力がかかるからつけっぱなしの方が良いという説です。確かにエアコンは、室温が設定温度に至るまでの間は大きな電力がかかり、設定温度に近づくと消費電力はかなり少なくなります。夏の日中など、エアコンを切ったら室温が急上昇するような環境でこまめに入り切りを繰り返すと余計な電力がかかるでしょう。
逆に、涼しい時間帯であれば、こまめに入り切りをしてもそれほど大きな電力がかかりません。室温が下がり設定温度と室温が近いため、起動時の消費電力量が少なくなるためです。
ダイキンの実験結果によると、
除湿運転は、梅雨時や冬の結露が多い時など、室温は低いけど湿気が多い時に使いたい機能です。夏の暑い時に部屋を快適な温度や湿度にしたいのであれば冷房運転。節電を考えるなら、冷房運転の設定温度を控えめにするのがいちばん良い方法です。
最近はお掃除機能が付いたエアコンが増えていますが、自動で掃除をしてくれるから掃除不要ではありません。ほこりをためるダストボックスの清掃や、取り切れていない汚れを定期的に掃除する必要があります。お掃除機能付きエアコンをお使いの方は、取扱説明書でお手入れ方法を確認しましょう。
エアコンの内部洗浄は、使用頻度によって数年に一度業者に依頼して行うと良いでしょう。市販の洗浄スプレーもありますが、汚れを落としきれず奥に詰まってしまったり、ドレンホースが詰まって水漏れを起こすことがあります。コストはかかりますが、内部洗浄をするならプロの業者に依頼した方が安心です。
日常的に行いたいのはフィルターの清掃です。フィルターを外し、ほこりを掃除機で吸い取ってから水洗いをし、よく乾かしてから装着します。汚れがひどくない場合は、掃除機でほこりを吸い取るだけでも十分です。シーズン中は2週間に1回を目安に行いましょう。フィルターが目詰まりすると余計な電力がかかりますので、掃除をするだけで年間860円の節約になります(※)。
古いエアコンを買い替えると電気代がかなり安くなるイメージがありますよね。年間何万円も電気代が安くなるなら買い替えをした方が得なのでは?と迷われる方も多いと思います。
では実際に10年前と20年前のエアコンを最新のものと比較するとどのくらい節約になるのか、2.8kW(8~12畳)のエアコンを例にとって調べてみました。
年間の目安電気料金
2021年 24,571円
2011年 24,430円
2001年 33,780円
※冷房能力2.8kW(8~12畳)の全機種平均値
参考:省エネ型製品情報サイト「省エネ製品カタログ」
20年前の製品ともなると、年間9,209円の差がありますが、驚いたことに10年前の製品とはほぼ変わらない(むしろ高い)結果になりました。要するに、省エネ性能はここ10年くらいでかなり底を打っているということです。ちなみに、この年間の目安電気料金は冷暖房両方を使用したときの電気代です。暖房使用時の方が冷房使用時の2倍以上電気代がかかっていることを考えると、冷房使用のみの電気代は上記の金額よりはるかに少なくなります。
内閣府消費動向調査(令和3年3月実施調査結果)によると、ルームエアコンの平均使用年数は13.2年となっています。20年超のエアコンを使っているようであれば迷わず買い替えをした方が良いですが、平均使用年数以内程度であれば、買い替えによって大幅に電気代が安くなるとは言えなさそうです。
ただし、近年はAI(人工知能)や各種センサーなど、より快適で省エネになる機能を搭載したエアコンも多数登場していますので、カタログ値のみの電気代だけでは比較できない部分があります。機能面や省エネ性のバランスを見て買い替えを検討されると良いでしょう。
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冷房の電気代を気にする方が多いですが、何十年も昔のエアコンを使い続ける、設定温度を異常に下げる、といった極端なことをしない限り、驚くほど電気代がかかるものではありません。それより暑さを我慢して熱中症になる方が大きなリスクです。エアコンは適度な節電を心掛け、夏を元気に快適に過ごしてください。
※出典:資源エネルギー庁「無理のない省エネ節約」
【この記事は、Yahoo!ニュース個人編集部とオーサーが内容に関して共同で企画し、オーサーが執筆したものです】