07 04
:証拠品収集キットに付けられたバイオハザードマークにビビりました

複数のメーカーのアイテムがセットになっています

 今回は前回に引き続き、証拠品収集キット「Evidence Packaging Kit」の中身の詳細です(参考:第320回「事件現場の証拠収集キットはちょっと物騒でした」)。

事件現場で証拠能力を失わないように証拠品を収集するためのキットです

 Evidence Packaging Kitは、事件現場にある数々の証拠品を収集する際に使うツール。触ってしまったり破損してしまったりといううっかりミスや、改ざん、隠匿などの証拠隠滅から証拠品を守るアイテムがぎっしり詰まっています。

 内容物は以下の11種類のアイテム+リストに載っていなかった小箱の合計12品目です。

・75 - Printed Paper Evidence Bags of various sizes (small. medium and large)・75 -Plastic Evidence Bags of various sizes (small. medium and large)・25 - Coin Envelopes , 3-1/2” x 6-1/2”・4 -Syringe/Sharps Collection Tubes w/corks・10 - Small Red Evidence Tags (#ET-SR), 6" long・1 - Box BreakAway Evidence Tape, 1-3/8” x 108'・1 - 100 Pack, Evidence Labels (#3-1000), 2" x 2"・2 - Sharpie Markers・1-Evidence Box, gun・1-Evidence Box, Knife・1-Buccal Swab Collection Kit

・さまざまなサイズの証拠品紙袋(小・中・大) 75枚・さまざまなサイズの証拠品ビニール袋(小・中・大) 75枚・コイン用封筒 3-1/2インチ x 6-1/2インチ 25枚・注射器/鋭利物採集管 コルク付き 4本・赤色小型証拠品タグ (#ET-SR) 長さ6インチ 10本・箱入りBREAKAWAY証拠品テープ 1-3/8インチ×108フィート 1巻・証拠品ラベル(#3-1000), 2インチ x 2インチ 100枚パック 1パック・Sharpieマーカー 2本・銃用証拠品ボックス 1箱・ナイフ用証拠品ボックス 1箱・口腔内粘膜採取キット 1セット

 全てのアイテムが同じメーカーの製品ではなく、紙袋はCrime Scene、ビニール袋はProAmpacなど、いくつかのメーカーの製品がセットになっています。

注射器などは専用ケースに

 前回は袋類3種を紹介したので、今回は4番目の「Syringe/Sharps Collection Tubes w/corks——注射器/鋭利物採集管」から見ていきます。何とも穏やかじゃない名前ですが、まさにその穏やかではない物を採集するためのアイテムです。

注射器/鋭利物採集管はとがった物を入れるチューブ。証拠品の先端を保護するクッションが入れられています

 針の付いた注射器など、捜査員の身体を傷つける危険のある証拠品を運ぶ際、ケガも怖いですが、もっと怖いのは血液感染症です。血液を介して感染する病原体が証拠品の付着物に含まれていた場合、傷から感染してしまう恐れがあります。それを防止するため、ビニール袋などではなくこの専用ケースを使います。

キャップはビニール製。四角いのは転がり防止のため

 透明なプラスチック製で直径はおよそ2.9cm。長さは20.3cmだったので8インチですね。片側に赤いキャップが被せられ、反対側には黒いキャップがはめ込まれています。

 これ、最初はどちら側を開けるのかわからなかったんですよね。赤い方がフタっぽいけど、白いクッション材みたいなのが栓になっていて、ワインの栓を抜くように引き抜くような気もしますし。

 中に入っているラベルシールに「TRITECHFORENSICS」というメーカー名が書かれていてたのでサイトを見てみたんですけど、残念ながらフタを閉じた写真しかなくて正解がわかりませんでした。

 で、いろいろ検索してみたところ、このクッション材のような物は栓ではなく、ここに注射器の針を刺して注射器を固定するとのこと。ポリエチレンの固まりで、クッション材のようなというか、まさしくクッション材。家電品などの梱包で使われている、弾力性があってヌメッとした手触りのあれです。注射器を固定すると同時に、注射器内の液体が漏れ出てしまった時に内部に封じ込める役割も持っています。

 というわけで赤い方がフタと判明。やわらかいビニールでできていて、外すときはスポッと引き抜きます。証拠品を入れたあとはギュッとはめ込むだけ。ネジにはなっていませんが、かなりしっかり固定されるので自然に外れる心配はいらなそうです。

 ポリエチレンのブロックがワインの栓みたいと書きましたけど、一覧表ではw/corksとなっているので、もともとはコルクが使われていたのかもしれません。それともこういうのもコルクって呼ぶのかな?

注射器を入れたらラベルを貼ります

 採集管付属のラベルシールには、「POLICE EVIDENCE SEAL」と書かれています。長さがおよそ19.3cm、幅2.6cmの細長いシールです。

:証拠品収集キットに付けられたバイオハザードマークにビビりました

密封した人の名前を記すラベルシール付き。バイオハザードマークがものものしいです

 これは不正開封・改ざんを防止するためのシールで、シールした人の名前と日付を記入するようになっています。「To be removed by authorized personnel only」と書かれているのは、無許可ではがさないようにという注意です。

 これも使い方が載っていなくてよくわからないんですけど、巻きつけたりキャップに封をしたりするんじゃなくて、チューブの横にベタッと貼るんじゃないかと思います。これならかろうじてキャップの封印もできますし、シールの長さがピッタリなので、わざわざその長さになっているのではないかなと。

シールを横に貼ると、赤いキャップの四角い部分の手前に収まり、ジャストフィット

封をするように貼るとキャップの横の部分が浮いてしまうので、これはたぶん不正解です

 シールには「BIOHAZARD」のマークが入れられています。これは「病原体による災害が引き起こされる可能性がある」という警告。ゲームなどではおなじみのマークですけど、現実に貼られていたらちょっとビビってしまいそうです。

 チューブの内部は汚染された状態になるため、再利用は不可。一度使ったら廃棄されます。

結束バンドで固定するタグプレート

 次の「Small Red Evidence Tags (#ET-SR), 6" long——証拠品小型タグ」は、トランクケースや家具など、大きい証拠品に取り付けるタグです。

 耐紫外線プラスチック製で、メモを書き入れるプレートに固定用のバンドが付いています。メーカー名の手がかりになるような刻印やプリントはどこにもなく、メーカーは不明。ただ、バンドの付け根や穴の形状からすると、これもTRITECHFORENSICS製なのではないかと思います。

証拠品に取り付けるプラスチック製のタグ。プレート部分にマーカーでメモを書きます

 プレートのサイズは横3インチ×縦2インチ。実測では幅およそ7.8cm、高さおよそ5.3cmとほんの少し大きい感じです。このプレートにマーカーで日付やメモを書いたり、ラベルシールを貼ったりして、バンドを証拠品に巻き付けて取り付けます。バンドの長さは6インチとなっていますが、これも測ってみたらちょっと長くて15.8cmぐらいありました。

 バンドは結束バンドになっているので、証拠品への取り付けはワンタッチ。バンドの先端を穴に差し込むとラッチでロックされ、破壊しないと外せないようになっています。

 このキットに入っていたのは赤色でしたが、TRITECHFORENSICSのサイトを見ると、黄色、緑、青もありました。重要度や場所などに応じて色分けしたりするのかな。バンドはこの6インチのほか、18インチというロングタイプも用意されています。

袋や証拠品にペタッと貼り付けるラベルシール

 その次は「Box BreakAway Evidence Tape」なんですけど、タグプレート絡みの「100 Pack, Evidence Labels (#3-1000), 2" x 2”——証拠品ラベル(#3-1000), 2インチ x 2インチ」から先に取り上げます。

袋や容器に貼ったり、大きい証拠品に貼ったりするシール式のラベル。日時や概要をメモできます

 縦横2インチ(およそ5.1cm角)の正方形のラベルで、記入内容の項目は事件番号、アイテム番号、採集日付と時刻、採集場所、備考、採集者名/技術官名。シールになっていて剥離紙をはがして貼り付けることができます。

 メモ欄などが印刷されていない素のビニール袋や紙袋、箱、検査容器などに貼るほか、タイヤや自転車、テレビなどの大きい証拠品には直接貼ったりもするそうです。

 そして先程のタグに貼るのもこれ。縦サイズがプレートと同じ2インチなので、ピッタリ収まります。

 10枚または100枚で1パックになっていて、このキットには100枚のパックが入っていました。

アメリカの定番マーカー入り

 もうひとつタグ関連としてマーカーが入っています。 「Sharpie Markers」というのがそれで、油性のマーカーです。

 油性マーカーって今でこそマーカーと言いますけど、昔はマジックと呼んでいました。子供の頃はまだマッキーもなく、油性マーカーといえば「?」マークが描かれた「マジックインキ」だったんですよね。それでマジックが普通名詞のようになり、「マジックない?」みたいな使われ方をしていて。

アメリカの定番マーカーSharpieの黒が2本入っています

 Sharpieはアメリカではド定番のマーカーで、マジックのように油性マーカー全般を指す言葉として使われたりもするそうです。米軍の写真で見て知ったため米軍御用達の品なんだと思って買ったことがあるんですけど、特に米軍用とかじゃなくてめちゃくちゃ一般的なマーカーだったっていう。当然、警察やハイウェイ・パトロールなどのLE(Law enforcement、法執行機関)でもよく使われています。

 そんなSharpieは2本同梱。ビニール袋やタグのプレートなどに記入する際に使います。

 今回はここまで。次回は今回飛ばしたBreakAway Evidence Tapeから!