株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)の子会社である日本テクトシステムズ株式会社は2月24日、株式会社NTTドコモ(ドコモ)と、電話による認知機能チェックと対話型AI(人工知能)を利用して、高齢化にともなう社会的課題やヘルスケアに関する課題の解決を目指す「AIを活用した電話応対業務の自動化に関する連携協定書」を締結した。2022年4月初旬から、実業務における本ソリューションの有用性の検証を開始する予定だ。
本協定では、日本テクトシステムズが提供する音声で判定する認知機能チェックツール「ONSEI」と、ドコモが提供する電話応対自動化サービス「AI電話サービス」を連携し、電話でAIと会話することで、認知機能をチェックできるサービスの提供をめざす。本サービスを利用することで、利用者は電話をかけたり、受けたりするだけで認知機能の確認やヘルスチェックができる。
65歳以上の高齢者に毎日の架電で認知機能をチェックし、認知機能が低下している場合は、地域包括ケアセンターや家族などと連携する。65歳以上の高齢者が運転免許更新をする際の事前チェックとしても架電を実施し、認知機能の状態を確認する。認知機能が低下している場合は、免許更新の前に医療機関での受診を提案する。
また、運送業ドライバーのヘルスケアチェックに関しては、従業員が業務開始前に電話をかけ、認知機能をチェックする。従業員から電話連絡がない場合は、自動で架電する。認知機能が低下している場合は、管理者へアラートを送信し、その後の対応につなげられる。音声日報としても利用可能だ。
認知機能の低下によって交通事故に巻き込まれたり、逆に事故の加害者となったりするケースが存在する。75歳以上の免許保有者数は増加傾向である一方、高齢者が運転する車の接触事故が毎年数百件起きていることが報告されている。愛媛県立医療技術大学の研究チームが発表した「認知機能が低下した高齢ドライバーと家族の経験」によると、認知症のドライバーが衝突事故を起こす危険度は、同年齢の健康なドライバーの2.5~4.7倍であることも明らかになった。
このような状況において、MCI(軽度認知障害)ステージで認知低下の兆候に気づくことで、早期に適切な医療対策をし、認知症の進行を遅らせることが重要となっている。
また、増加する宅配需要に対し、運送業のドライバーが不足していることから、長時間労働が常態化している。日本テクトシステムズによると、運送会社では事故が事業に与える影響は大きいため、1年に数回の健康診断や、毎日の点呼での健康確認などを実施しているが、コストや管理業務で負荷がかかっているという。
日本テクトシステムズとドコモはこれまでに培ってきた技術やノウハウにもとづき、より多くの人が利用できる認知機能チェックサービスを開発することで、社会へ貢献するとしている。
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