2021年のルームエアコンや冷蔵庫、掃除機など民生用機器の国内出荷金額は、前年比0・6%減の2兆5215億円で、ほぼ横ばいながら6年ぶりマイナスとなった。直近の21年12月単月でも前年同月比7・5%減の2313億円となり、7カ月連続で減少している。この21年実績をまとめたJEMA(日本電機工業会)は「6月以降は前年の需要増加の反動と夏の天候不順の影響を受けたが、過去10年平均の2兆3303億円は大幅に上回っており、高水準を維持している」と分析している。
新型コロナウイルス感染拡大の影響を直接的に受けたといえる空気清浄機の国内出荷数量は前年比1・4%減の299万4000台で、2年ぶりのマイナスとなった。ただ過去最高を記録した20年に次ぐ台数となっている。
今年の白物家電需要に関しては、コロナ禍による巣ごもり需要が一巡したとの見方もあり、これまでのような高水準を維持するのは困難とみる向きもある。ただ次に挙げるいくつかの要因によって、引き続き堅調な伸びを維持する可能性もある。
理由の一つ目が新型コロナウイルスのさらなる感染拡大だ。1月末時点では、オミクロン株の拡大で感染者数が過去最多記録を日々塗り替える状況が続いている。必然的に外出を控えるケースが増え、再び在宅時間が延びることになれば、各種白物家電製品などの需要が伸びることが予想される。
二つ目が買い換え需要。家電エコポイント制度によって特需が発生した2010年前後に各種家電製品の買い換えが進んだが、それからおよそ10年が経過した現在、冷蔵庫やエアコンなどは買い換え時期を迎えている。当時の商品よりも省エネ性能が向上し、機能も多様化していることもあって、買い換えを望む人が増えるのではないか。
三つ目が白物家電のIoT(モノのインターネット)化を含む高機能化。例えばロボット掃除機の新型機種にはネットワーク機能が搭載されており、外出先からスマートフォンなどで掃除開始を命令できるようになった。またエアコンはネット化に加え、コロナ禍もあって空気清浄機能を搭載した機種が人気となっている。このような便利で健康に優しい機能の搭載が、消費者の買い換え需要を後押しするかもしれない。
さらに昨年末から今年にかけて、子育て世帯への臨時特別給付金として1人当たり10万円が支給されている。貯蓄だけでなく家電製品の買い換えに回ることも考えられ、これが需要増の一因となることもあり得るだろう。
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