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マンガロールの電気街やショッピングモールで知る、インドのスマートフォン事情 - INTERNET Watch

 南インドのマンガロールという街で、現地在住の日本人のバックアップを受けて、少しの期間、現地人同様に住んでみて、IT普及の実態を感じてみた。インドのITではよく知られたバンガロールという大都市に似た響きだが、バンガロールではなくマンガロールである。マンガロールとバンガロールは、同じカルナータカ州にあり、距離は350kmと、広大なインド全体から見れば遠くはない。バンガロールはインドを代表する大都市の1つだが、マンガロールは人口50万人程度の中都市である。しかしコンパクトな街の割には、そこそこ人々の所得はあり、スラムがあるわけでもない。そんな街である。このマンガロールをサンプルにインドのIT事情の一部を見ていこう。

 マンガロールでは、スマートフォンや携帯電話の販売店は限られる。街の中心にある家電量販店数店や、“秋葉原”と言うにはあまりにも小さいが街一番の家電ビルにおいて、フィーチャーフォンからスマートフォンまでさまざまな携帯電話製品が購入できる。また、Apple製品を扱う店もショッピングモール内にある。メーカー名不詳の安価なフィーチャーフォンから、iPhoneまでとりあえず一通りそろっているわけだ。

マンガロールの商店街マンガロールにあるショッピングモール

 大都市のムンバイやチェンナイやコルカタでは、複数あるショッピングセンター内の家電量販店や、庶民の足の鉄道駅周辺、大通り沿いなどに個人経営の携帯電話屋がぽつぽつとあり、中都市のマンガロールでも、商店の多い地域を散歩しているとぽつぽつと見つけることができる。携帯電話屋では、本体の販売のほか、プリペイド式のSIMカードの販売や、通話料金のチャージ代行(だいたい店には「Recharge」と書かれている)も行っている。

 庶民的な個人経営の店では、修理やSIMカード関連代行業務をしつつ、いまだフィーチャーフォンをメインに売っている。テレビショッピングでも低価格なフィーチャーフォンやスマートフォン、タブレットを売っている。フィーチャーフォンはいまだ現役というわけだ。一方、家電量販店では、Apple、Samsung、Sony、HTC、それにmicromax、INTEX、iball、LYF(インド最大の複合企業Relianceのスマートフォンブランド)といったインドの地場企業のスマートフォンやタブレットが売られている。値段は最も安いスマートフォンで5000~1万5000円程度。ホワイトカラーの平均月収で1台買えるかどうかという価格だ。

修理屋。「人気はSamsungのGalaxy」と語る個人のモバイルショップで。番号をメモしてチャージする個人のモバイルショップ内。端末の販売ほか、修理やダウンロード、SIMカード関連の業務を行う商店で書かれる料金プラン一覧

 ショッピングモール自体もエアコンが効いていて人が多くいるが、ショッピングモール内の家電量販店も家電ニーズが高いのか、スマートフォン、タブレット、パソコン、テレビ、白物家電それぞれで、多くの客が品定めをしている。スマートフォンで注目を集めるのは5インチないしは5.5インチで、デュアルSIMカードスロット搭載、そして自分撮りに強いカメラを搭載している製品だ。例えば、その中心の1つに自撮りに強い「Xperia C4」がある。この世界モデルの機種は、インドにおいても3G/4Gに対応しているが、店舗ではXperia C4しかり。デュアルGSM、つまり2GのSIMカード2枚挿しと表現している。

マンガロールの電気街やショッピングモールで知る、インドのスマートフォン事情 - INTERNET Watch

 なお、最新の人気スポットであるショッピングモールでも公衆無線LANが全くない。今のところはデータ通信のニーズがほとんどないという、現地のスマートフォン利用状況が垣間見える。

 ショッピングモールにはフードコートがある。さまざまな食事が食べられるが、日本のフードコートと違い、1食2、300円程度からと、外食が100円以下で食べられる中ではいずれも高嶺の花で、いいとこ育ちの人々のみそこで食べる財力があるわけだ。フードコートを利用する人々の若い世代の多くがスマートフォンを所有し、所得がある彼ら(特に女性)は、スマートフォンを取り出しては自撮りに熱心になっていた。かといって、彼らが何かほかにアプリを入れているわけではなく、スマートフォンを時々取り出しては写真を撮っては撮った写真を確認し、スマートフォンをしまうの繰り返しす人がほとんど。“スマホ依存”というほどでもなく、Facebookなどを利用する人もほとんど見なかった。

人気の家電量販店フィーチャーフォンがテレビショッピングで売られる

 マンガロールの多くのスマートフォンユーザーにとって、今のところスマートフォンとは、“電話もできる、初めて所有するデジカメ”というポジションのようだ。こうしたことから、OPPOをはじめとした中国メーカー(インドに展開するとアピールしているシャオミは、リアルでは売っていなかった)は、自分撮りが綺麗なカメラだとアピールしている。(特に非インテリ)インド人にはメイドインチャイナはすこぶる評判がよくないこともあり、まだあまり普及はしていない。

 マンガロールほか、ムンバイやバンガロール、チェンナイなど大都市では、日本のショップを想像するような、中古のゲーム屋兼中古デジタルショップチェーン「CeX」(https://in.webuy.com/)がショッピングモールに展開されていて、現品限りの中古商品を安価で買うことができる。中国や東南アジアで個人がやっている中古屋だったり、そうした店が集まる泥棒市場のような中古市場はあるが、明確な買取価格・販売価格表がある店は見たことがない。

スマホで自撮りの行為は都市で普及小さな個人商店のおじさんもスマホ。ただし妻は不所持

 ショッピングモールにはフードコートのほか、映画館やお化け屋敷、スケートリンク、ボーリング場まであり充実しているが、映画館では「アングリーバード」の映画上映が始まった。中国などでも同じく映画上映されているが、「アングリーバード」はだいぶ前に下火となった。インドではこの映画をきっかけにゲームなどでの利用用途も増えるのかもしれない。

 電気屋が集中する「ドバイマーケット」というショッピングセンターには、モバイルショップが数店固まっていて、各店舗で数人の客が購入の相談をしている。ここで特筆すべきは、インド国外からの輸入スマートフォン品も多く扱っていることだ。インド国外からの輸入品とあって、SonyやSamsungの製品が多く、インド向け正規品より若干安く販売しているという。非正規流通品の所有者は少なくないため、調査会社から出る「インド市場におけるスマートフォンメーカー新品出荷台数ランキング」と実際の新製品所有メーカー別ランキングでは差がありそうだ。

 ところで、しばしばインドで激安すぎるスマートフォンやタブレットの話題が出ることがある。例えば今年2月には、価格が4ドル、つまり日本円ならばワンコインで買えてしまうAndroid搭載スマートフォン「Freedom251」(Ringing Bells製)がニュースとなり、今年5月には、99ルピー(約160円)のスマートフォン「Achhe Din」(Namotel製)が発表された。こうした製品トレンドは、今年始まったわけではなく、5年前にも当時としては激安な約4000円という価格の「Aakash」(Datawind製)というタブレットが発表されている。もちろんマージンが付いていても見つけて買えればラッキーだとばかりに探したが見つからなかった。それもそのはず、プレスリリースや、ネットで募集をかけることはしたが、結局資金繰りがうまくいかず、立ち消えになってしまうのだ。

中国OPPOは自分撮りカメラだとアピール電気街「ドバイマーケット」