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ポラスグループ 2021 年度グッドデザイン賞 14 点受賞  19 年連続 通算受賞点数 63 点 過去最多点数受賞。新しい生活様式や SDGs 対応作品も。

ポラスグループ(本社:埼玉県越谷市、代表:中内晃次郎)の各社が開発した以下の 14 点が、2021 年度グッドデザ イン賞を受賞いたしました。19 年連続の受賞で、通算受賞点数は 63 点となりました。また、14 点の受賞は過去最多 となります。受賞作品の中には、コロナ禍の新しい生活様式や SDGs に対応した作品も多く含まれています。

●さいたま市の「次世代自動車・スマートエネルギー特区」事業における脱炭素循環型街づくりプロジェクトとして開発した分譲地。 敷地の一部を拠出し創出したフットパス状の共有地を中心に景観・エネルギー・モビリティの複合型シェアリングコミュニティを実現。

●エネルギー・モビリティの共有では、街の中心に共用蓄電池やシ ェア用電気自動車(EV)2 台などを備えたチャージエリアを設置。 各住戸の太陽光発電が生む電力を地中化された送電網により各 世帯に再配分するエネルギーシェアシステムを構築しています。●自家所有の EV が街の蓄電池になる V2G も実現しており、街の 再エネ自家消費率は 60%超を達成しています。 「脱炭素循環型」をテーマに徹底的とも言うべき挑戦を行った事業である。再生エネルギーやモビリティに関わる様々な仕組みは、これからの都市開発・都市再生における重要なモデルとなろう。各所有者が一定の敷地を拠出して設けられた共有土地の考え方は、コミュニティ形成に寄与するアメニティ空間として意味を持ちながら、環境的・機能的な問題解決としても意図されているなど、これから各所で広く共有されるべき多くの知見が実装されたプロジェクトと言える。

●再エネ自家消費率の低い国内の状況を打破す る脱炭素化システムを開発し、全国に普及でき る再現性の高い事業モデルを構築し、環境寄 与を高める街づくりを広める取り組みです。●モデルは、①敷地のシェア:拠出された共有地 を街の骨格状に創出。②景観・暮らしのシェア: 共有地を緑道化・公園化するなど。③エネルギ ー・モビリティのシェア:再エネ自家消費率 60% のシステムを構築。④モビリティシェアの拡充: V2G エリアの設定。など、再現性を鑑み脱炭素型街づくりのメソッドを構築しました。日本全国でスマートシティーが言われている中、新しいエネルギーシェアマネジメントシステム(特に個人所有 のEV の電気を街区に融通する V2G のシステム)により、新しいインフラをまちづくりとともに整備可能なこと が素晴らしい。ランドスケープと一体になった創蓄電システムは、今後の日本のスタンダードになっていくポテンシャルがある。街への波及の中で、これまでの近所付き合いや街のコモンスペースのあり方さえも変え ていくことが想像され、これから実装されていくモデルを注視し、今後を注目していきたい。

●内装用無垢の桐パネル。杉や松、檜、外材銘木と違って 桐は機能性に富みながらも建材利用は極端に少なく限定的でした。春日部の桐箱工業協同組合や桐箱製造を手掛ける建材メーカーと協力し、独特の柔らかな手触り感を表現しつつ生活で付く傷を吸収するデザインを考案した 製品です。●伝統工芸士の指導のもと手加工による浮造り仕上げを行 っています。材の質感をそのまま表現したナチュラル系の 製品から、優しい色柄のアート系製品まで開発し、採用間 口を広げて様々なインテリアを構成できるようにしました。 その軟質性による加工難度や維持管理の難しさから、高い機能性を持ちながらも内装建材としては使用されること の少なかった桐を製品化した試みは評価に値する。その軽さ•断熱性•調湿性•復元性•難燃性•防虫効果といったい いことづくめの材料であるが、製造効率の視点からこれまで家具への需要に留まった訳だが、職人によるハンドメ イドによって実現される浮造り加工や多重塗装によって工芸的美しさを空間に持たせるという発想により、意義ある 結果を望めると思われる。更にその手工芸的視点を生かし、一枚単位での出荷を可能とし、セット買いせずに済む無駄の無さも建材の枠を超えて、一つのプロダクトとして扱える可能性を持っている点にも可能性を感じる。 

●4 世帯の小規模分譲。各世帯が 1 ㎡の敷地を拠出し て 4 ㎡の共有地を南北につなぐ路地の中心に設定しています。 道路から共有地をつなぐ街路空間は地役権を設定。 将来的な持続性を担保。「共有」+「共用」で街の中心にコモンスペースのある住宅地を開発しました。●南北の路地にはグリーンベルトを設定。各住戸から緑の情景を楽しめるようにしている。中心の共有地に は、共有樹木(みんなの木・落葉樹)を植え、アイストッ プとしています。南北に抜ける路地と真ん中の共有地がこの 4 戸の住宅の居住性を格段に上げている。普通なら裏になってしまう 場所が表になることで、彩光と通風にも貢献しながらコミュニティーを形成できそうな場を作っている。区画を微妙に ずらすことで、住戸間の目線が合わないような間取りも実現されている。地役権を設定することで可能となったこの 手法は分譲住宅地の開発の手法として汎用性があるものだと思う。

●コロナ禍で見直される自転車だが、道路沿いに乱雑に並ぶ様子などは、住宅地の景観を崩す要素にもなっている。そこで、改めてサイクルスペースの定義を 再考、利便性のみならず街並み全体の景観や繋がり、結果的に生まれる住民のコミュニケーションを意 図しデザインしました。●従来の分譲住宅では、サイクルスペースによって植栽スペースが削減されることがありました。駐輪の利便性と景観の両立。緑豊かな街並みの維持を図るため、全 34 戸という規模での価値を最大化させるデザインに着手。①玄関横に屋内サイクルスペース確保、②スロープの設置、③隣家との境界フェンスの排除によって、自転車 をスッキリと収納するとともに、道路沿いの植栽スペースを確保しました。「自転車」に着目して計画することにより生まれる、様々な意味が見出される提案。消極的な余剰空間の代わりに、積極的な意味を持つ屋外空間を設けることにより機能的な利便の実現と同時に、オープンで奥行きのある街路との関係性が生まれている。近隣の住み手同士の関係性にもポジティブな意味合いが生じていくことが期待される。 シンプルながら多様でリズミカルな表情を持った建物の外観構成も街並みの魅力を高めることに寄与している。

●千葉県船橋市の 62 棟の新規分譲住宅地に建設した 雨水貯留施設の上部を利用した公園。水害を防ぐ重 要な施設を、新旧住民の地域交流の場としました。●従来の雨水貯留施設は、コンクリートの壁とフェンスで囲まれ、人が入れない無駄なスペースでした。壁は圧迫感を与えると同時に、土地も分断する。そこで雨水貯留施設を地下に埋設し、上部を住民みんなが使える公園としました。また同時に貯留施設への転落 の危険性や害虫、悪臭などの問題も解決しました。既存住宅地に隣接した新規分譲住宅開発においては、既存の地域コミュニティと新たに暮らし始める住民との関係 性をどう構築するかが大きな課題となるケースがよく見受けられますが、この作品は開発行為に伴い設置が必要と なる雨水貯留施設整備に際して、上部を公園とすることをきっかけに、新旧住民の関係性を継続して紡いでいける ような仕掛けとしようという試みです。公園としての居心地や環境整備については今後少しずつ改善していくことが望まれますが、既存住宅地のゴミ集積場をあえて新規住宅地のゴミ集積場の隣に移設し、新旧住民の接点を増や す取り組みや、管理組合を設置して公園の維持管理を通じて住民の交流を促進させる仕組みなど、新規住宅地開発における課題に真摯に取り組んでいる事例であると思います。

●区画整理地に隣接した4 棟の分譲住宅。庭とリビン グを一体的にプランニングし、内外の境が曖昧で空 と庭の空気を身近に感じる空間を創りました。リビン グでは開放的な庭の居心地を感じ、庭では新たな 居場所が生まれます。●4 邸の庭や居室に陽光が射すように、ハーフ平屋住宅を 2 棟配置。これによりで壁面ラインにずれが生じ、街並みに空が広がりました。リビングに接する庭は、日陰を作るタープ等を設置できるようにし、 所々屋根開口を設け、庭から連なるように植栽を配置しました。また大開口サッシで内外を曖昧に繋いでいます。敷地の狭小化と床面積の最大化によって閉鎖的になってしまった郊外の住環境であるが、2 階床面積を制限する 空比率という独自性の高い考え方を導入した立体的な街区計画により、良好な街並みを創出し、住まいの豊かさ につなげるという提案は、新築戸建住宅の分譲に用地取得から一貫して関わる企業の強みを生かしたアチーブで ある。今後、暮らし方の見直しや、世帯の小規模化が進む中で、展開が期待される取り組みである。

ポラスグループ 2021 年度グッドデザイン賞 14 点受賞  19 年連続 通算受賞点数 63 点 過去最多点数受賞。新しい生活様式や SDGs 対応作品も。

●常磐線新松戸駅徒歩 10 分、高層マンションと商業 施設が混在するエリアに位置する 4 区画の住宅。 このような場所では、閉鎖的な箱型住宅が量産される傾向にあります。この状況に対し、数量的ではない情緒的な指標として距離感に着目。路庭、縁庭、 斜庭の 3 つの庭を街区計画に採り入れることで、閉と開が共存した新たな都市型住宅を開発しました。●通常は分業化されている区割、配棟、建築、外構を 同時に検討し、3 つの庭の距離感を持つ庭を作りました。①路庭:透かし壁が路地空間を創出。②斜庭:坪庭を斜 向かいに配して隣家の壁まで自分の家のように演出。③縁庭:行き止まりの空間をひとつながりに演出し、庭を共 有しているような不思議な空間を創出。これらによって家と街を繋げています。路庭、縁庭、斜庭という三つの外部空間のアイデアを丁寧に街区計画に取り込み、プライベートと開放性を両立させながら、良質な街区形成を狙う。駅から徒歩圏の好立地・かつ4住戸の最小の開発単位である。当然ながら計画の自由度は少ないが、このような条件の中でも、住戸を越えた空間の繋がりをつくろうとする姿勢は重要である。今後は、庭のアイデアがさらに内部空間の構成にまで影響があると、より素晴らしいものになると思う。継続的に可能性 の追求を試みてほしい。

●昨今住まいには、職住一体、学住一体、更には遊びの

場など多くの機能が求められるようになりました。様々な条件を充足する住まいを実現するため、「家」「庭」「カーポート」の 3 つの空間の境界をなくして最大限の 広さを確保し、自由度の高い暮らしを可能にしました。●リビングを家具配置を限定しない「FREE-IMA(フリイ マ)」とした他、庭にはシェードなどが簡単に取り付け られる B-WALL を設置。カーポートも境界をなくし て、リビングから庭、カーポートまでが連続してつながるようにしました。 居間、庭(ガーデンリビング)、カーポート(カーリビング)、の3空間の境界がつながって感じられるように丁寧に空間 を設計している。カーポートを車のためだけでなく、人の居場所として設計するという着想は、これからはカーデザイ ンなどの変化も促す重要な視点になるだろう。多用途化するための、フレームやライティングダクトのアイデアは効 いているし、活動のきっかけとしては、今後はランドスケープデザインや外キッチンなどの可能性もあり得ると思う。 新しい暮らしの可能性を開拓していってほしい。

●住まいとは、暮らしを整える「器」のような存在で ありたい。コロナ禍で複雑な環境だからこそ、乱雑に絡み合った「もの」や「こと」を整理し、シンプルに暮らしを整えられる家を開発しました。●具体的には、1 階に収納を分散から集中に変えるバックヤードと、テレワークなど新しく増えた「こと」にも柔軟に対応できるマルチカウンターを設け、スッキリとした空間にしました。水回りは 2 階に移動させ、洗う、干す、たたむ、仕舞うがラクにできる家事導線を提案しました。家の前庭をひとまとまりの空間にし、敷地境界を明示しないというシンプルなアイデアによって、実に快適な広がりと、 奥行きのある美しい街並みを形成している。余計な装飾的デザインを行っていないことによって植栽も生き生きと街 路を彩っている。こうしたシンプルなアイデアは、内部のプランニングにも徹底され、収納をひとまとめにしてバック動 線と一体化させることで、家に自由な余白空間が生まれている。コロナ禍を経て家に求められる機能は拡張している が、こうした変化にも柔軟に応えていくことができる住宅だろう。

●コロナ禍の前から自由に場を選んでいたノマドワー

カ ー。彼らが選んでいた籠ったり、寝転んだりできる場、カ フェのようなおしゃれ空間、空や緑を感じられる空間。 外部に求めていたそれらを家の中に取り込みました。●居間に隣接して小スペースのヌックを設置。カウンタ ーで仕事をするほか、座ったり寝転んだりできる。キ ッチンにはカウンターと一体のダイニングテーブルを 作り付け、カフェの雰囲気も生み出しました。玄関ポ ーチ横にはテラスワークができる空間も作っています。コロナ禍を経て、日々の生活や、その器としての住宅は、大きな変革を迎えることとなった。家にいる時間が増 える。家族と過ごす時間が増える。この当たり前のことが実はこれまでの住宅ではあまり考慮されていなかった のかもしれない。この住宅は、そんな家で過ごす時間を豊かにするためのアイデアに溢れている。腰掛けたり 横になったりと、家のあちらこちらにたくさんの居場所がある。時に壁に向かい、時に庭を眺め、そんな数珠つ ながりの居場所の連続体は、少し場所を変えれば劇的に雰囲気も、心持ちも変わるのだろう。家の中を動き回 ることも楽しそうだ。このような視点は、今後の住宅設計に不可欠なものとなるだろう。

●高低差のある空間は仕切りを極力排除することで、行き止まりをなくし、繋がりを感じ、中間領域を取り入れた住 まいを実現。通り土間は、外部格子・障子を開閉し、人と 地域が緩やかに繋がる空間を生み出しています。●空間構成として、1 階和室をフロアレベルより 400mm下 げ穴蔵のような安心感のある空間としています。住まいの中心には吹き抜けがあり、空間をつなげるとともに、 風や光、気温や気配の通り道にもなります。1.5 階のリビ ングは、室内側には仕切りを設けず吹き抜けと手すりで 緩やかに区分、吹き抜けを介した対面には書斎を配置しました。バルコニーはハコ型とし、風や光を感じつつプライバシーも確保したものとしています。 格子戸や障子、軒先や土間、畳など、伝統的な日本の住宅が持っていた建築言語を駆使し、実に多彩な中間領域を 生み出している。その使い方は、単にノスタルジックな嗜好によるものではなく、むしろ現代的な技術と再解釈を通じ て展開されたもので、今なおこうした要素が住まいにおいて有効に働くことを示してくれている。一方で、幾つもの床レ ベルの設定や吹き抜けなど、現代的な言語も随所に展開し、その伝統的な言語と現代的な言語の統合が見事である。

●グラスウールは、梱包の入数が多く、余りが出やす い。また、余った材料はリサイクル可能だが、1 か所 の住宅建築現場から排出される量は少なく、広域リサ イクルによるメーカー回収ができず、再資源化されていませんでした。 ●この問題を、①流通段階で小分けにする仕組みを構 築し、廃棄される製品を抑制。②住宅会社が中間処理 施設を創設し、保管したものを製造会社がまとめて回 収することで、回収コストの問題を解決。これによって再資源化を実現しました。建設材料のリサイクルを考えたとき、高断熱の建築が増えている現状、断熱材であるグラスウールが再生 産されていくリサイクルモデルはとても意義深い。廃棄物回収の取りまとめも、住宅会社が中間処理施設に 回収したものを、まとめて回収することで実現している仕組みが素晴らしい。長い年月使われていく建築だか らこそ、最後の廃棄の段階でいかにリユースリサイクルしていくのかが課題なので、この取り組みが今後の 建築業界のリサイクル意識を広げていく一歩になることを期待する。

●床材表面に抗ウイルス剤・抗菌剤を配合した塗装を施したフロアー材。日本繊維製品品質技術センターの試験では、床材に付着した特定ウィルス数 が 24 時間後、99%以上減少していることが証明されています。●一般的なフロアーは 6 枚入り 1 梱包だが、本品は 1 枚梱包から出荷可能。また、本品は国産木材を基材に使用しています。違法伐採を取り締まるグリーンウッド法でも確認済みの材を使用しています。現代の状況下でいち早く室内用木質フローリングへ抗菌・抗ウィルス機能を付加した高性能フローリング材。住宅等 でその面積の多くを占める床において、24 時間でこの床に到達したウィルスの 99%を減少させるという事実は、現代 生活の中で素晴らしい効果であり、それを国産のリアルウッドで実現させていることも評価出来る。又、建築現場で茶 飯事な 1 梱包で数枚セットとなった納入により無駄な廃棄が生まれてしまうことが多いが、本製品は一枚単位での納 入を可能としており、環境配慮の観点からも素晴らしい。