パンデミックで2年ぶりの対面イベントとなったCES 2022。
オミクロン禍で急きょ大手やメディアがリモート参加に逆戻りを決める波乱の幕開けでしたが(米Gizもリモート…泣)、会場は力作ぞろい。野心的ノート、限りなく美しいTV、度肝を抜くクルマ、滅入る毎日をちょっぴり楽にしてくれるミニガジェットたちが一堂に集まって、暗く長いCOVIDのトンネルを希望の光で満たしてくれました。
万難を排して今年の年明けを飾ってくれた、CESベストガジェットをどうぞ!
007のQ!と話題沸騰。世界初、色がコロコロ変わる車 by BMWです。
逃走中の指名手配どうなるの⁉と思わず心配になりますけど、eインクが提供する技術の応用なので(eリーダーのパネル的なものをそのままボディに採用しています)ボタン1個で黒と白を行ったり来たりするだけです。eインク、こんなことにも使えるのね。応用範囲広がりそう。
暑い日は白にすれば光を弾いて蒸し風呂にならない、という実質的メリットもあります。新車に正式なオプションとして加える予定は今のところないとのことですが、デザインコンセプトで終わらすのはあまりにももったいない!と思う人多そうです。(Andrew Liszewski )
何を思ったか、ASUS(エイスース)がつくったのが巨大すぎる折りたたみノート。
「え?ノートってもともと折りたためるんじゃ…」って? いえいえ、よく見てください。ほら、画面が折りたためるんですよ、画面。広げるとノートになる折りたたみスマホみたいに、広げるとノートを超える何かになる突然変異型ノートPCです。カフェでシャッキーンと広げたら浮くこと間違いなし。
「画面たたんだらキーボード消えちゃうじゃん」って? いや、これは下側をソフトウェアキーボードに使えるので無問題。念のため物理キーボードもばっちり同梱になってます。
「折り曲げた画面の手前にキーボード置いたら画面遠いやん!」って? あ、これは写真の左上のような配置で使うみたいですよ。映画観るときなどには、こんな風に広げてキックスタンドを立てれば17.3インチ2.5K(2560 x 1920)OLEDのタッチスクリーンに早変わり。モード切り替え時のウィンドウ移行は同梱のScreenXpert 2ソフトで操作できます。全方位抜かりなし。
人類初(にしておそらく人類最後)の17インチ折りたたみノート。だれも作ってくれと頼んだ覚えはないのにやってくれましたASUS。パンデミックも2年目ともなれば、だれだって少しだけ身勝手が出てきて、やりたいようにやりたいもの。その意味でも共感を呼びますね。ASUSみたいに生きたいよ俺。個人的には今年CESで見たなかで一番強烈でした。ASUSにはこれからもやらかし続けてほしいです。(Phillip Tracy )
今年のCESで一番バズッた製品といえば絶対外せないのが、SONYのQD-OLED TV「Bravia XR A95K」です。QD-OLEDは「quantum dot organic light-emitting diode(量子ドット有機LED)」の名のとおり、OLEDに量子ドットを加えたもの。13年にSONYが世界初の量子ドットTVを出して話題だったのですが、その後、販売を取りやめ、苦境に陥った米ベンチャーQD VisionをSamsungが買収。有機ELのLGに対抗してQに突如力を入れて復活させた経緯があります。
このBravia XR A95KもディスプレイはSamsung製(Samsungからは量子ドットTVの出品はありませんでした)。有機ELの深いブラックに、鮮明カラーと明るさを融合させ、量子ドット採用により視野角が広がり、光の出方ももっと均一になったのが特長です。
ふつうのOLEDと違って、QOLEDが使うのは青色ダイオードだけ。これで肉眼で見える色域すべての再現に成功しました。実物見たかったなあ。もしかしてハイエンドTVの分野においてはQちゃんがOLEDを早晩駆逐しちゃうかも。攻防から目が離せません。(Brianna Provenzano)
ゲームもネット、4K映画もネット。8Kの坂も見えてきちゃって、Wi-Fiいくら進化しても追い付かない!と感じる毎日ですが、メッシュルータは1000ドル(約11万4000円)軽く超えるしなあ…とじっと手を見るあなたのために、その半額の500ドル(約5万7000円)前後で買えるWi-Fi 6E対応ルータ「Archer AXE200 Omni」がTP-Linkから登場です!
アーチャーという名のとおり、ネットを使いまくるヘビーユースの方角を探知して、4本のアンテナがウニウニ動いて電波の矢をビューンと集中投下。スマホもタブレットもPCもゲーム機も逃しません。家のなかを持ち歩いても、移動する足取りを追尾してウニウニウニウニ調整してくれる憎いやつ。(Andrew Liszewski )
HyperXからは電池が恐ろしく長持ちするゲーミング用ヘッドホンが爆誕です。1回の充電でなんと300時間使えます。
これ以上説明不要なインパクト。だって競合はせいぜい2桁で、長くても100時間。それが一気に2週間…びっくらこきますわ。音質と性能は有線タイプのものとほぼ同じで、デザインも基本同じ、アプデしたDual Chamber Technologyと50mmのドライバ(DTS:X)でイヤーカップはさらにスリムになってるそうなので、なおさら驚愕です。
まだ試してませんが、HyperXのお話では、バッテリーはリチウムポリマーの1,500 mAhのものを使っており、「50%のボリュームで連続駆動300時間」というのは「外部のテスト会社」から得た数値とのこと。2月に実機が届くので、本当か嘘かはそのとき試してみますね。(Phillip Tracy)
ぱっと見、スマートホーム家電を操作するAndroidタブレットですが、実はその印象のとおりで、たったそれだけのモノなのに割と需要があるんです。みんなGoogleやAlexaの音声アシスタントもいいけど、だんだんしゃべるの億劫になって、つい指がスイッチに伸びちゃう。そんな「音声コマンドあるある」に応える新製品というわけですね。
一般のタブレットは家電ごとにスイッチが分かれていますが、Home Hubは家中のスマート家電のリモコンを一元管理できるのが違い。Samsung独自アプリ「SmartThings」のランチャーとして使う以外にも、家族のルーティンを管理したり、Samsungのほかのサービス(SmartThings Cooking/Clothing)を見たり、空気の状態をモニタリングしたり、家の中にあるSamsung製家電については消費電力も点検できちゃう。3月の韓国発売を皮切りに世界展開予定。(Florence Ion )
有機ELのトップランナー、LG。本年発表の次世代モデル「OLED EX」では明るさが30%アップして、有機EL最大の弱点をカバー。パネルの技術改良で映像の精度が高まり、ベゼルも6mmだったのが4mmまでスリムになっています。
技術の土台(自発光ピクセル)は同じですけど、EXではアイソトープ(deuteriumという)を統合し、アルゴリズムによる映像処理を統合した2点が違い。
有機ELのハイエンドモデル「G2」と普及版「C2」シリーズには高性能パネルOLED evoを採用し、華やかな年明けになりました。EXは来年第2四半期から2つの拠点で製造開始を予定しています。(Phillip Tracy)
2000ドル(約22万4800円)もあれば65インチOLED 4K TVを壁にマウントして超豪華映像を朝から晩まで楽しめるけど、コロナで映画館に行かないのも2年目。もう飽き飽きだ!というみなさまは2000ドルはたいてAnker最新4Kプロジェクター「Nebula Cosmos Laser」を買うのも手。
Nebula Cosmos Laserは、ムービーナイトが家で楽しめるハンディーなプロジェクター。明るさは2,400 ANSIルーメンなので、晴れた日の昼にカーテン全開で使うのは少し厳しいかな。そういうのは有機ELのほうがずっと上。でもある程度暗い場所であれば壁でもスクリーンでも150インチの特大サイズで4K映像を細かいところまで楽しめます。
設営は簡単で、もう何もしなくてもピントが合うし、曲がったり歪んだりもしなくて、ちゃんと水平な四角に整うのもポイント高いですよね。30Wのサイドスピーカー2台で室内は音の洪水。庭で使ってもサウンドは満足できるレベルです。
Android TVにも対応しているので、使えるサービス、ゲーム、メディアプレイヤーは数百種。ネットの接続が切れないようにするだけで世界が広がる広がる~。(Andrew Liszewski )
Surface Proの見た目でありながら、中には最新ゲームの使用に耐える強力なGPUパワーを秘めている。そんなPCゲーマー長年の夢マシンがASUSから登場です。
Flow Z13は、昨年CESで発表したROG Flow X13に改良を加えた新作。13インチのタブレットでありながらスペックは17インチのゲーミングノートPCに負けない陣容で、CPUはIntel Core i9-12900H、GPUはNvidia RTX 3050 Tiとなっています。
それだけでも十分タフなのに、何を狂ったか、PCIe 3.0 x8のポートまで用意。ここに別売の外付けeGPUユニット「XG Mobile eGPU」を差せば、NvidiaのモバイルGPUのGeForce RTX 3080や、AMD最新PUのRadeon RX 6850M XTといった外付けパワーも加わって、1349gの小ぶりなタブレットが超高画質プレイもサクサクこなせるゲーミングシステムに大化けするというわけです。
今年第1または第2四半期の発売を予定。価格はまだわかりませんが、eGPUユニットだけで1,500ドル(約17万円)もするので本体もそれなりになることが予想されます。こんなに心揺さぶる(スペックの)PCは久々なんだけど、大多数のゲーマーは手が届かないかも。(Phillip Tracy )
曲がる曲がる。どんだけ曲がれば気が済むんだよ、となるディスプレイ。その名も「Odyssey Ark」。サイズは55インチあります。もはや個人が使う”ゲーミングディスプレイ”って括りじゃねえぞと言われてるけど、だからこそ最高なんですって。いろんな意味で。
湾曲率1000R。没入するつもりもないのに気づいたら物理的に頭が没入してた…なんてこともありそうです(湾曲率1000Rの没入感については、先輩のMSIの解説がくわしい)。ピボット(画面回転)で高さと向きを調整できるので、ARKは縦に無茶苦茶長くもなります。
設定はワイヤレスのリモコンで操作可能。リモコンはSamsungのマルチビュー機能対応なので、複数のゲームやウィンドウを好みの解像度で一度に表示させることも可能。量子ドット技術とmini-LEDのバックライト採用だから画質もよさげ。
単にリモワやゲームのディスプレイを突き詰めたらArkになりましたってことですかね。価格はまだ発表されていませんが、これも安くはないだろうなあ。(Sam Rutherford )
今年もCESはスマートホーム一色。統一規格Matterへのサポートを宣言する企業も目につきましたが、これは便利!と思ったのが、iOS 15のHome Keyに対応するSchlage最新スマートロック「Schlage Encode Plus」です。
ドアに取り付けてHome Keyの設定を済ませてしまえば、あとはApple WatchやiPhoneをスマートロックにかざすだけで鍵が開くの。Alexa、Googleの音声コマンドにも対応しています。
スマホ盗まれたら終わりじゃん!と心配だったら、iPhoneで使ってるFace IDやTouch ID、パスコードで認証しないとドアが開かないようにすることも可能。
Power Reserveにも対応しているので、iPhoneの電池が切れてからでも最大5時間以内なら開錠できちゃう。
また、スマホやスマウォを忘れたときにはPINコードをEncode Plusにただ打ち込めば入室できます。理想のスマートロックってこういうシンプルなの言うんだよなあ。早く試してみたいわー。 (Florence Ion )
チップ不足なんでどこ吹く風で、CESではIntelもAMDもNvidiaも未来のノートやデスクトップを担うCPU、GPUの最新作をがんがん発表してきました。
復活を賭けるIntelからは「最速モバイルプロセッサ」を標ぼうする第12世代のチップが発表。実用で試してみるまでこういうのは話半分に聞かないといけないけど、公開になったベンチマークを見る限り、あながち嘘ではない爆速っぷりです。
テストで使ったのはCore i9-12900HK SKUで、クロックスピードは5.0GHz。結果は、AMDのRyzen 5900HX、AppleのM1 Maxをも凌ぐものでした。社内テストでもゲームは前世代より最大28%、仕事用アプリは最大44%の性能向上が確認されたとのこと。第12世代CPUではDDR5規格のRAM、PCIe 4.0、Wi-Fi 6E、Thunderbolt 4の新技術も加わって、これから出るゲーミングノートやハイエンドノートを裏で支えます。今年ノート買う人は当たり年かも。(Phillip Tracy)
Qちゃん押しはSamsungだけだろうと思っていたら、フラグシップTVにQD-OLEDを採用したのはまさかのSONYで、待望のAlienware製34インチモニターまでQD-OLEDなのには二度ビックリです。
3440 x 1400、リフレッシュレート175Hz、応答速度0.1ミリ秒。色調カバー率はDCI-P3 99.3%、ΔE色差2.0未満、輝度最大1,000nits(!)。太陽で目が潰れるほどのまばゆさは好みが分かれそう。
価格未発表。おそらく心臓止まるプライスだから発表を控えた…とかですかね。3月29日発売。財布に穴が開くこと間違いなし。(Phillip Tracy)
電池交換にさようなら。リモコンの電池が死ぬたびに家中の棚を探す原始人の暮らしもこれで終わります。
SamsungがCES 2022にぶつけてきたのは、再生素材から生まれ、Wi-Fiルータから出るラジオ波でセルフ充電するEco Remote。 同社は2019年にプラスチック梱包材からの脱却を宣言し、事あるごとにサスティナブル素材をプッシュしてますが、新型Eco Remoteでは、リチウムイオン電池を撤廃して、空中で無駄になるだけのラジオ波を有効活用することで、見事にそのコミットメントを果たしています。
前世代と同じく、太陽光による充電も可能ですが、ラジオ波キャッチの新技を獲得したことで充電キャパ補強となりました。
Samsungによると、同社の2022年モデルのQLED 4Kおよび8K TVにはすべて自動的に同梱になるので、最終的には向こう7年で単4電池のべ9900万個が埋立地からセーブできる計算らしいですよ? ちいさなことだけど、全然悪くない成果です。もっと広まるといいな。(Brianna Provenzano)