13 03
「このままでは中国の属国になる」最悪シナリオ回避のため日本に残された"唯一の選択肢" 「中国経済圏」から逃れるために

※本稿は、加谷珪一『中国経済の属国ニッポン マスコミが言わない隣国の支配戦略』(幻冬舎新書)の一部を再編集したものです。

写真=iStock.com/3dmitry※写真はイメージです全ての画像を見る(4枚)

すでに中国経済圏に取り込まれつつある

2030年にも中国が米国を抜いて世界最大の経済大国になると言われています。この現実を考えると、日本がいつまでも米国頼みでいることは不可能です。コロナ禍で世界的なサプライチェーンが見直され、世界経済のブロック化が進むのであれば、米国がアジアから手を引いてしまう可能性も十分にあり得ます。中長期的には、米国抜きで中国とどう対峙するのか日本独自の戦略が必要となるでしょう。

「このままでは中国の属国になる」最悪シナリオ回避のため日本に残された

筆者はあまり賛成できませんが、もっとも手っ取り早いのが、中国の経済圏に自ら入り込んでしまうという戦略です。

中国メーカーに日本製の部品を販売したり、東南アジアに生産拠点をシフトした中国の製造業に対して部品や工作機械を提供したりすることで、日本は中国から対価を得ることができます。中国が消費経済に移行した場合でも、日本の消費者向け製品は中国でも人気がありますから、積極的に中国の消費市場に的を絞った商品を展開すれば、14億人の巨大市場で販売することができるでしょう。

資生堂やサントリーなど中国の消費市場に完全に馴染んでいる日本メーカーはたくさんありますし、伊藤忠商事のように商社の中からも、中国企業と日本企業の仲介を強化するところが出てきています。日本経済の屋台骨である自動車産業についても、中国市場向けに安価なEVを大量生産できれば、生産ラインを維持することができるかもしれません。

このやり方であれば、製造業を中心とした日本の産業構造を大きく変える必要はありませんから、国内産業や労働者への影響は最小限で済むと考えられます。しかしながら、この道を選択した場合、最終的には人民元経済圏に日本が取り込まれてしまう可能性は高いと考えざるを得ません。

次ページ1234関連記事「脱炭素シフトはババ抜きと同じ」ずる賢い欧米、先手を打つ中国、ババを抱える日本元海自特殊部隊員が語る「中国が尖閣諸島に手を出せない理由」「大逆転はここから始まる」トヨタがEVより"水素車"にこだわる本当の理由ランキング#国際経済 #中国 #書籍抜粋